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MLB

戦力外の選手に年俸1400万ドルの“無駄金”支払いも…MLB不良債権に見る“キューバ選手バブル”の狂騒

スラッガー編集部

2019.11.23

 カスティーヨは参加していないが、日本とも対戦した第3回WBC代表で出場したメンバーも明暗が分かれている。“キューバ歴代最強打者”との評判だったホゼ・アブレイユはWBCでも活躍し、その後ホワイトソックスに6年6800万ドルで入団。14年は田中将大(ヤンキース)を破って新人王を獲得、史上10人目のデビューから4年連続25本塁打を達成し、今季は打点王に輝いた。
 
 しかし、この時の代表で1番を務めたオリベイラは、15年に6年6250万ドルでドジャース入りするも、半年後に三角トレードでブレーブスへ放出される。16年は新天地で開幕スタメンを勝ち取ったが、4月早々、遠征先のワシントンDCで知人女性を暴行して逮捕されて82試合の出場停止。処分期間中の7月末にパドレスへ放出され、直後に解雇。「金が奴を狂わせた」と某スカウトが言うように、解雇直後に350万ドルのスーパーカーを購入したという逸話もある。大型契約を得て、プレーへのモチベーションを失ってしまったのだろうか。
 
 また、ドジャースは代表の遊撃手だったエリスベル・アルエバルエナも5年2500万ドルで獲得したが、打撃不振と素行不良ですぐに解雇。ドジャースは前年にも4年2800万ドルでアレックス・ゲレーロも迎えたが、彼も結果を残せず、最後の2年は年俸を負担する形で中日に放出している(もっとも、中日では16年に本塁打王を獲得し、ここ2年は巨人でまずまず活躍していたのだから、能力はやはりあったのだろう)。

 アブレイユと代表の3、4番を務めたトーマスも6年6850万ドルの大型契約を手にし、15~16年は100試合以上に出場。16年には31本塁打を放った一方で、フリースウィンガーで守備も走塁も×と弱点が多く、総合指標WARでは今季も含めてすべての年でマイナス。通算309試合でWAR-2.5という、逆の意味で“怪物級”の成績を残している。

 振り返ってみると、アブレイユやトーマス、オリベイラらが大型契約を結んだ頃は「キューバ選手バブル」の最盛期だった。アロルディス・チャップマン(現ヤンキース)、ヨエニス・セスペデス(現メッツ)、ヤシエル・プイーグ(彼の入団もドジャース。ドジャースはどれだけキューバ人が好きなのだ! というのはさておき)がメジャーで活躍し、各球団がこぞってキューバ市場を求めた。その後も活躍した選手は何人かいたとはいえ、今ではもう「キューバ出身だから高額契約をするぞ!」というマインドは駆逐された。日本のサラリーマンがバブル時代を振り返るのと同じで、キューバの選手も「あの頃は良かったなあ……」とボヤいているかもしれない。

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文●スラッガー編集部

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