専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

22年ぶりのプレーオフへ向けひた走るマリナーズ。この秋は日本メディアの注目が大谷翔平から再びイチローにシフトする?<SLUGGER>

ナガオ勝司

2022.08.28

 やんわりとしたところで言えば、東京ディズニー・シーが開場し、映画『千と千尋の神隠し』や、ハリー・ポッターシリーズの第1作が公開された年でもある。今は「5」のプレーステーションも、当時はまだ「2」の時代である。ウィキペディアがスタートしたのもこの年らしい。今は5Gが主流のネットワーク回線も当時は3Gで、まだ「ガラケー」の時代。Eメールの送受信やテレビ電話が可能になったものの、初代iPhoneが登場するのは6年後の話だ。

 随分と昔の話のようだが、重要なのはマリナーズがそれ以来ポストシーズンにすら進出していないということだ。イチローを通じてメジャーリーグに興味を持った人々は、現在のエンジェルスと同じように、毎年のようにマリナーズに期待しては裏切られるというシーズンを送り続けた。

 あれから21年。今年、マリナーズがついにファンの期待に応えてくれるかもしれない。

 8月24日(現地)現在、マリナーズは今季から3枠に増えたワイルドカード争いで、レイズやブルージェイズ、オリオールズといった東地区3強と、ツインズとホワイトソックスの中地区2強と互角以上の戦いを繰り広げている。
 
 日本絡みで言えば、日本のメディアでも何度か、「イチローの愛弟子」と報じられているドミニカ共和国出身の21歳、フリオ・ロドリゲス外野手が新人王最有力候補に挙げられているが、実は彼以外の主力選手の獲得方法が興味深い。

 エースの左腕ロビー・レイの好投で勝利した8月23日のナショナルズ戦の先発野手9人中、ロドリゲスと捕手のカル・ラリー(18年ドラフト3巡目)以外の7人がトレードで獲得した選手たちだった。同じく、投手陣にもトレードで加入した選手が多い。

 チームを作るうえで、最も安価な方法は生え抜きの主力選手を育成することだが、マリナーズに限ってはそれが当てはまらない。かと言って高価なFA選手を買い漁っているわけでもなく、昨オフに5年1億1100万ドルで獲得したサイ・ヤング賞投手のレイ以外は目立ったFA補強はなかった。ローガン・ギルバートとジョージー・カービー、そしてラリーの存在はロドリゲス同様に大きいのだが、トレードなくして今年のマリナーズの快進撃は存在し得なかった。
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号