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MLB

22年ぶりのプレーオフへ向けひた走るマリナーズ。この秋は日本メディアの注目が大谷翔平から再びイチローにシフトする?<SLUGGER>

ナガオ勝司

2022.08.28

 マリナーズのジェリー・ディポート編成総責任者は、15年9月の就任から18年1月までに22チームと60件ものトレードを成立させた「トレード仕掛け人」だ。同時期の他球団のトレードが最多でも46件しかなかったと考えると異常な数で、それゆえに「トレーダ・ジェリー」という異名を付けられている。

 岩隈久志、青木宣親がいた16年には86勝76敗(勝率.531)、18年は89勝73敗(同.547)、そして昨年は90勝72敗(同.556)とそれなりの成果を残してきたものの、13年オフに再建の柱として10年2億4000万ドルもの大金を積んで連れてきたロビンソン・カノーが18年に薬物規定違反で出場停止処分を受けたり、同時期にアストロズの黄金時代が始まったりと誤算が重なったため、未だ頂点を極めるには至っていない。

 今年もアストロズが地区優勝争いを独走中だが、エンジェルスが大失速したこともあり、2位の座を確実なものにしている。そして、前出のように他地区の5球団と3枠のワイルドカードの一角を狙うところまで来ている。
 
 ポストシーズンでは、さすがに「メジャーリーグと言えば、まず大谷ありき」にはならないので、ダルビッシュ(=チームが不調なので心配)や菊池雄星(ご本人が不調なので心配)の露出は大きくなるだろうが、もしもマリナーズが01年以来のポストシーズン進出を果たせば、我々日本のメディアはイチロー球団会長付特別補佐兼インストラクターを、選手に迷惑がかからない程度に取り上げることになると思う。

 そうなったらもう一度、「メジャーリーグと言えば、まずイチローありき」という世の中の流れになるかもしれないのである――。

文●ナガオ勝司

【著者プロフィール】
シカゴ郊外在住のフリーランスライター。'97年に渡米し、アイオワ州のマイナーリーグ球団で取材活動を始め、ロードアイランド州に転居した'01年からはメジャーリーグが主な取材現場になるも、リトルリーグや女子サッカー、F1GPやフェンシングなど多岐に渡る。'08年より全米野球記者協会会員となり、現在は米野球殿堂の投票資格を有する。日米で職歴多数。私見ツイッター@KATNGO
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