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「事実上の戦力外」なのに、なぜ澤村拓一はレッドソックスに残留した?MLBの「DFA制度」を徹底解説!<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.09.04

2:マイナー行きを受け入れて残留
 2つ目が、澤村のようにマイナー行きを受け入れる道だ。そもそも、サービスタイム(メジャー登録日数の合計)3年未満で、過去にDFAで降格した経験のない選手は、基本的にマイナー行きを拒否できない。つまりウェーバー公示を経ても獲得球団が現れなかった時点で、澤村に他の選択肢はなかった。

 昨年の有原航平(レンジャーズ)も同様のケースだ。彼も9月にDFAとなって3Aに降格し、この時も「事実上の戦力外」という表現が使われた。だが、有原はその後もレンジャーズ傘下にとどまり、今季は8月に再昇格を果たして白星も挙げている。
 
3:解雇となって退団
 澤村をDFAとした時、レッドソックスは「ウェーバーで他球団に取られるのならそれも仕方ないし、自軍の3Aに置いておくのも悪くない」というスタンスだったはずだ。一方、単純に選手を解雇する際にもDFAの手続きを踏む必要がある。

 昨年5月、エンジェルスは10年2億5400万ドルの超大型契約最終年を迎えていたアルバート・プーホルスをDFAとしたが、これは純粋にプーホルスを戦力外=解雇とするための措置だった。今年5月にメッツがやはりベテラン二塁手ロビンソン・カノーをDFAとしたのも同じで、こういったケースでは「事実上の戦力外」という表現は正しい。ちなみにプーホルスはDFAから7日後の13日に解雇され、17日にドジャースと契約している。

 このように、一口にDFAと言っても、球団側の狙いや選手の「その後」はさまざま。本来は、ケースごとに「事実上の戦力外」なのかどうかを判断する必要があるのだが、最近の日本の報道はDFAとなった選手に、判を押したように「事実の戦力外」という表現を使う。

 プーホルスのような大物ならともかく、澤村のような中堅どころの中継ぎ投手やメジャーとマイナーを行ったり来たりの選手がDFAになった時にも「事実上の」を使うのは必ずしも適切ではないだろう。

構成●SLUGGER編集部

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