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MLB

“最も過大評価されている男”ブライス・ハーパーがポストシーズンで躍動。世界一の使者となり、今度こそ正当な評価をつかめるか<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2022.10.27

 プロ入り後も、ハーパーは順調な成長曲線をたどった。12年に19歳でメジャーデビューを果たし、打率.270、22本塁打、18盗塁でナ・リーグ新人王を受賞。15年にはいずれもリーグ最多の42本塁打&OPS1.109で、史上最年少の22歳で満票MVPに選ばれた。毎年のようにオールスターに出場し、FAとなった18年オフには史上最高額(当時)となる13年3億3000万ドルでフィリーズ入り。そして前述の通り、昨季は2度目のMVPに輝いている。

 これだけの実績を残してもなお、『スポーツ・イラストレイテッド』に書かれた宣伝文句から得た期待値からすると「物足りない」と感じるファンや関係者は少なくないようだ。本人がビッグマウスなキャラクターを売りにしていることや、昨年までに計4度出場したプレーオフで、チームがすべて地区シリーズまでに敗退していたことも要因だったのだろう。

 だが、キャリア全体を振り返ってみれば、故障に悩まされた時期もあったとはいえハーパーは常に一流の成績を残していた。今季にしても、5月に右ヒジの靭帯を一部断裂する故障を負いながらも、指名打者で出場を継続。6月に死球を受けて左手の親指を骨折するまでは、3度目のMVPもあり得ると言われるほどの活躍だった。

 そして今、ポストシーズンでの神がかり的な活躍によって、3年前の入団会見で「フィラデルフィアにチャンピオンシップを取り戻したい」(最初はうっかり「ワシントン」と言い間違えていたが)と語った言葉を現実のものにしようとしている。
 
 ここまでポストシーズン計11試合で43打数18安打(打率.418)、5本塁打。先制弾が2本、逆転弾が1本とここぞという場面で必ず打っている。しかもリーグ優勝を決めた一発は、ロベルト・スアレス(パドレス)が外角高めに投じた99マイルの4シームを打ったもの。難しい球を完璧に捉え、逆方向のレフトスタンドに一直線に叩き込んだものだった。

 一連の活躍について、かつてヤンキースでコーチを務めていたこともあるロブ・トムソン監督代行は「デレク・ジーターが同じことをしたのをよく見た」。ともに主軸を形成するリース・ホスキンスも、「彼はワールドチャンピオンに、そして殿堂入りする運命なんだ」とハーパーを称賛する。

 アストロズは先発、リリーフともに分厚い層を誇るチームだ。だが、今のハーパーの勢いは、彼らに優るとも劣らない。そして何より、メジャー最強の強力投手陣を打ち砕き、チームを世界一に導いてこそ、「過大評価」との声を一掃し、伝説に新たな1ページを加えることができる。

 webニュースサイト『MASSLIVE』のライター、クリス・コティロはこうツイートしている。「かつての誇大宣伝のために、ハーパーは永遠に過小評価されるだろう。それでも、彼は殿堂入りする可能性がある」。

 ハーパーにとって、2022年のワールドシリーズは長らくつきまとってきた不当な評価を吹き飛ばす絶好のチャンスになりそうだ。

構成●SLUGGER編集部
 
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