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プロ野球

打率1割の不振も経験した強打者はなぜ阪神のドラ1に? 森下翔太の“追い風”となる「岡田新監督」と「虎の事情」

THE DIGEST編集部

2022.11.02

大卒のパワーヒッターである佐藤の存在は森下にとっても良き手本となる。(C)THE DIGEST

大卒のパワーヒッターである佐藤の存在は森下にとっても良き手本となる。(C)THE DIGEST

 3年春には開幕戦の対立正大戦でいきなり2本のホームランを放ち、いよいよ才能の開花かと思わせたが、その後の11試合で生まれたヒットは3本のみ。打率は1割台前半と極度の不振に陥った。

 当時の森下は全身を使ったフルスイングは迫力十分で、芯で捉えた打球の飛距離は圧倒的なものがあった。だが一方で、ボール球になる変化球に空振りを繰り返す姿が強く印象に残っている。3年終了時点で上位候補として考えていた球団は少なかったはずだ。

 そんな森下がそのポテンシャルを再び発揮し始めたのは今春からだった。開幕週でチームが連敗を喫したなかで2試合連続ホームランを放つと、その後もヒットと長打を量産し、打率.311、3本塁打、11打点で1年春以来となるベストナインにも輝いたのである。

 とくに成長が感じられたのが打球方向だ。3本のホームランはレフト、右中間、センターと見事に3方向へ打ち分けたものであり、ボールをしっかり呼び込めるようになったことがよく表れている。7月に大学日本代表として挑んだオープン戦で吉村貢司郎(東芝→ヤクルト1位)から死球を受けて右手首を骨折し、秋のリーグ戦ではその影響からやや成績を落としたが、放った10安打のうち5本が長打(二塁打4本、本塁打1本)と持ち味をしっかり発揮。これが大きなアピールになったのは間違いない。
 
 ちなみに4年間のリーグ戦通算打率は.240と高くはない。だが、3年時までが.220だったの対して、4年時の2シーズンの合計は.282と大きく改善している点はプロで生きていくうえでもプラス要因だ。また、3年秋までの5シーズンで3盗塁だったのが、4年時は春秋連続で3盗塁ずつをマークしており、走塁に対する意識が高くなっている点も評価できる。

 しかし、だからと言って、いきなりプロで1年目からレギュラーとして活躍できるかと言われれば、その可能性は高くはない。同じ中央大の2年先輩で、1年目から大活躍を見せた牧秀悟(DeNA)の大学3年春から4年秋の3シーズン(4年春は新型コロナウイルス感染拡大の影響でリーグ戦中止)の合計成績を見てみると、打率は.370と圧倒的なものがあり、44安打中20安打が長打となっている。当時の牧と比べると打撃の確実性に関してはかなりの差があるというのが現状だ。

 また、タイプ的に近いのは牧ではなく、プロでチームメイトとなる佐藤輝明の方が近いと言える。そんな佐藤もリーグこそ違うものの、大学時代は3割近い通算打率を残しており、それを考えても森下の確実性の低さは大きな課題になると見て間違いない。
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