バーランダーより1歳年下のシャーザーの持ち味は、何と言っても人並外れた闘争心だろう。左右の眼の色が違うオッドアイをギラギラ輝かせながら、飢えた猛獣のようにマウンド付近を徘徊する姿は、一部のファンから「猟奇的」とさえ言われる。
今年5月、いかにもシャーザーらしい事件が起きた。始球式を務めるはずだった在ニューヨーク日本総領事がマウンドに向かうと、すでにその日の先発投手だったシャーザーが投球練習を始めていた。一心不乱に投げ込むシャーザーの姿を見た総領事は、そのままきびすを返して退散さぜるを得なかった。
19年のワールドシリーズでは、首を痛めて着替えすら一人ではできない状態だったにもかかわらず第7戦に先発。ベストコンディションではなかったが、文字通り魂のピッチングで5回2失点にまとめ、ナショナルズに球団創設以来初の世界一をもたらした。
メッツ加入1年目の今季も、故障もあり23試合の登板にとどまったものの11勝5敗、防御率2.29とまったく衰えなし。9イニング平均の奪三振率は11年連続で10を超えるなど、ドクターKぶりではバーランダーを上回る。日本では同じく奪三振マシーンとして鳴らした千賀は、この点でもシャーザーから何かを吸収できるのではないか。
千賀は今後、バーランダーからは飽くなき探求心と向上心を、シャーザーからは燃えたぎるような闘争心と勝利への執念を学ぶだろう。そもそも、2人がいたからこそメッツを選んだのではないか。そんな気がしてならない。
文●久保田市郎(SLUGGER編集長)
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千賀は今後、バーランダーからは飽くなき探求心と向上心を、シャーザーからは燃えたぎるような闘争心と勝利への執念を学ぶだろう。そもそも、2人がいたからこそメッツを選んだのではないか。そんな気がしてならない。
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