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MLB

数々の強打者を輩出したレッドソックスの左翼。新たな「グリーンモンスターの番人」吉田正尚が栄光の伝統継承に挑む<SLUGGER>

出野哲也

2022.12.12

 ライスがDHに回る87年まで、ごく一時期を除いて実に50年近くもこの殿堂入りメンバー3人で守り続けたのだから、レッドソックスのレフトが特別視されるようになったのは当然だろう。言うまでもないが、ウィリアムズの背番号9、ヤストレムスキーの8、そしてライスの14はいずれも永久欠番となっている。

 ライスの跡を継いだマイク・グリーンウェル(のちに阪神入りした『あの』グリーンウェルだ)も、ややスケールは小さかったが88年に22本塁打、119打点を記録してMVP投票2位。メジャーではレッドソックスひと筋で、3割を越える通算打率を残した(.303)。

 2001年にはインディアンスからマニー・ラミレスが加入。自由奔放な性格で問題行動も多かったが、打撃に関してはウィリアムズ級の天才だった。04年は43本塁打でタイトルを獲得しただけでなく、ワールドシリーズでも打率.412でMVPに輝き、ウィリアムズ、ヤズ、ライスが成し遂げられなかった世界一を実現した。
 
 ラミレスが08年途中にトレードで退団して以降はスター不在の時期を迎えた。16年に昇格し、久々のスター候補と注目されたアンドリュー・ベニンテンディもルーキーイヤーに20本塁打&20盗塁を記録したが、その後は怪我に泣かされてトレードで放出された。

 奇しくも吉田は、そのベニンテンディと打者としてのタイプは似ていると言われている。果たして彼は“モンスターの番人”たるにふさわしい成績を残せるのか。来季は日本だけでなく、熱心なレッドソックスファンがひしめくニューイングランド地域全体の目が、彼に集まることになる。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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