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プロ野球

ライオンズのルーキー3人が入寮。ドラ1蛭間はぐんまちゃん、ドラ4青山はあの大先輩のグラブとともにプロの世界へ!<SLUGGER>

岩国誠

2023.01.07

青山(左)は東都リーグで22年春にMVPを獲得した本格派右腕。是澤(右)は強肩自慢の捕手だ。写真:岩国誠

青山(左)は東都リーグで22年春にMVPを獲得した本格派右腕。是澤(右)は強肩自慢の捕手だ。写真:岩国誠

 最後に登場したのは、育成ドラフト4位の是澤涼輔捕手(法政大)だった。2人とは打って変わって、荷物はキャリーバック一つだけ。報道陣の前で一度立ち止まり、深々と頭を下げ、大きな声で一言挨拶してから建物の中へ。そして、清々しいほどの笑顔で会見場へ姿を表した。

「すごい施設に入ってきたな、というのが第一印象です。しっかりと練習して”北極星”になれるように頑張りたいと思います。自分の育った土地も結構、田舎なので、自分のホームグラウンドのような気持ちです。」

 昨年12月6日の新入団選手発表会で、ファンの話題を集めたのが是澤の”北極星”発言だった。一番輝きたいという思いを込め、色紙に書き込み一言一句、はっきりと話す姿はとかなり印象的だった。

「夜、ランニングしている時に『星がきれいだな』と思って、星に絡めた入団会見にしようと思って、そこから考えました。(北極星は)一番輝いている星、目標にするべき星だなと思いました」

 派手さはないが、強烈な個性を放つ是澤。持ち込んだ物もまた独特だ。

「高校、大学と寮生活でしたが、その時にも持って行った、中学3年生の時に書いた野球ノートです」
 
 聞けば、健大高崎高入学が決まっていた中学3年の秋から、「一流のプロ野球選手になる」という強い決意のもとに書き始めたと言う野球ノートだという。現在は25冊目に突入しているが、今回持ち込んだのはその1冊目だ。

「『今(中学3年時)の目標は一流のプロ野球選手。他の選手と(自分を)見比べてしまうけど、負けないでね。未来の涼輔が読み返した時には、必ず追い続けてほしい、必ず夢を叶えてほしい』……そんなことを書いてあります」

 記念すべき1冊目、その1ページ目に記された中学3年の自分が持っていた強い思いを、毎朝読み返し、活力に変えてきた是澤。大学時代も控えだったが、強肩を買われて
晴れてNPBの世界に足を踏み入れることになった。もちろん、ここで満足などしていない。

「僕の夢は『一流のプロ野球選手』です。まだ育成ですし、これからだと思っています」

 是澤は最後まで清々しい笑顔で記者団に対応した。育成4位とは思えないほど、落ち着いた受け答えと、知性を感じる言葉の選択。そして堂々とした振る舞いにも、大きな可能性を感じさせてくれた。

 この日、入寮してきた3選手。指名順位もポジションは違うが、いずれも大卒入団で同学年でもある。それぞれが放つ強烈な個性が、これからどんな化学反応を起こすのか。早くも楽しみだ。

取材・文●岩国誠

【著者プロフィール】
岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
 

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