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プロ野球

独立リーグでの苦闘の日々を糧に。西武の育成ルーキー2人が語ったNPB入りへの道「迷いもあった」「苦しかった」<SLUGGER>

岩国誠

2023.01.09

 昨年、活動休止となってしまった琉球ブルーオーシャンズだが、創設当初はNPBでプレーしていた選手が多く所属しモンテルもそのレベルを体験することができた。そんな恵まれた環境で一番世話になったと話すのが、元西武で現在は福岡北九州フェニックス(九州アジアリーグ)に所属する松本直晃投手だ。

「『(NPBは)厳しいぞ、その中で自分の持ち味をどうやって活かすか』と、そういう話をされました。今の自分の持ち味は走力だと思うので、それをどこまで突き詰められるか。そこが課題なので、足でトップに行けるように頑張りたいと思います」

 今回の指名で、当時一緒に夢をみた仲間たちや関係者から、多くの祝福が届いたというモンテル。ただ、その言葉に浮かれることはない。

「これで終わりではないので一軍の試合に出て活躍して、期待してくれているみんなにいい報告ができればと思っています」

 毎年、独立リーグからNPBへ入団する選手は多い。しかし、その中で一軍で結果を残した野手となると数えるほどしかいないのが現状だ。

 そのうちの一人と言えるのが、現在は社会人野球・ショウワコーポレーションの監督を務める亀澤恭平だ。香川オリーブガイナーズから11年育成ドラフト2位でソフトバンクに入団。支配下選手として移籍した中日では、5年間一軍でプレーし、421試合に出場している。20年からは琉球に所属し、まだ投手だったモンテルの後ろを守っていた。
 
 その亀澤は、昨年12月に行われた引退選手のセレモニーを兼ねた試合『THE LAST GAME 2022』で、モンテルについてこんな話をしてくれた。

「自分の場合は『育成っていうのはプロ野球選手じゃない」と、思ってやっていました。そこで(育成の立場で)「プロ野球選手だ」って一瞬でも思ったら、上(支配下)にはいけないです。育成選手が支配下選手よりも頑張らないといけないのは当たり前で、僕はホークス時代、常日頃からいろんなコーチに『本当のプロ野球選手ではないぞ』と言われてきました。

 そこで(心に)火がついていてやってきて、次の球団にもつながった部分もあった。身体能力を評価されてのNPB入りと聞いていますが、入ってからは実力勝負。彼がどう実力を出していくのか、応援しています」

 モンテルや野村を含め、憧れだったNPBの世界に足を踏み入れた独立リーガーたちが、この先その才能をどう開花させていくのか。入寮したこの日の思いを忘れず、一心不乱に野球の道を突き進んでほしい。

取材・文●岩国誠

岩国誠(いわくにまこと):1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。
 

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