専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

百戦錬磨の岡田彰布監督も「はっきり言うて、予想を上回ってる」と絶賛! 虎の“えぐいルーキー”森下翔太は何が凄いのか?

チャリコ遠藤

2023.03.05

今岡打撃コーチ(左)と話し込む岡田監督(右)。この百戦錬磨の指揮官をして森下は「俺が入った時よりも数段上」だという。写真:滝川敏之

今岡打撃コーチ(左)と話し込む岡田監督(右)。この百戦錬磨の指揮官をして森下は「俺が入った時よりも数段上」だという。写真:滝川敏之

 当初は回避予定だった第3クールの1、2軍合同の紅白戦も「1打席ぐらい立たせたろうか」と指揮官の鶴の一声で、急遽、方針転換がされた。見切り発車的に見えた1軍合流も、本人からすれば「1打席でもチャンスをもらえるのであれば」と臨むところだった。

 ここから森下は周囲を驚かせ、また納得させていった。顔見せとなった2月11日の紅白戦では詰まりながらも二塁への内野安打を記録し、渋く“デビュー”。翌日には初めて右翼でシートノックにも就いて、肉離れが不安視された右足の完治をアピールした。

 2月19日のKBOリーグの強豪サムスンとの一戦では、途中出場ながら3打数2安打1打点でいずれもプロ初のマルチ安打、適時打、打点を記録。与えられた出場機会で着実に結果を残すたくましい姿に岡田監督は「打つもんは使わなしょうがないやろ、はっきり言うて。予想を上回ってるからな。俺が入った時よりも数段上」と自身の1年目と重ね合わせて、その力を絶賛した。

 さらなるインパクトを与えたのが、2月23日の中日ドラゴンズとの練習試合だ。「6番・右翼」で先発出場して対峙したのは東海大相模高の3学年上の先輩で、昨年12月の入団会見で「対戦したい投手」に挙げた小笠原慎之介だった。

 2回無死一塁で迎えた待望のマッチアップで、先輩は初球から3連続で内角に投げ込み、森下は1-2と追い込まれた。それでも4球目のチェンジアップにタイミングを外されながらも対応して左翼線を破る適時二塁打を放った。プロ入り時に掲げた目標の対戦に早々とたどり着いて残した快音だった。これには今季の中日で開幕投手候補にも挙がる左腕も「すごく振ってくる。嫌な印象がある」と脱帽した。
 
 終わってみれば、キャンプ中の実戦では、21打数8安打。本塁打こそお預けとなったが、森下はきっちりとドラ1の片鱗を見せつけた。打撃だけでなく右翼守備も無難にこなし、シートノックでは随所に正確な送球を見せて首脳陣を安心させている点も評価に繋がっている。

 岡田監督は「右打者が打線に入って欲しい。空いているところ(打順)は3と6。可能性はあるんじゃないかな」と広角に打てる能力などを評価して3番での開幕スタメンの可能性を示唆。大山悠輔、佐藤輝明との夢の和製大砲クリーンアップ実現も現実味を帯びてきている。

 もっとも、初めてのキャンプを終えた2月28日、外からは満点に見えたアピールの日々を振り返る森下の自己採点は辛口だった。

「60点ぐらいかなと思う。ケガでチームになじむことも遅れ、ヒットが出ているけど、長打や打点がまだまだ足りない。1軍で活躍するためには詰めないといけない部分が多いので60点」

 収穫は胸に秘め、言い聞かせるように課題を挙げた。この言葉に偽りはなく、休日を挟んで迎えた3月1日の甲子園球場での全体練習では早速、バットの位置をやや高くした新フォームに着手。打球に角度を付ける、ひいては求められる長打を量産するべく、22歳の挑戦は新たなステージに入った。

 このままいけば、森下は3月31日の横浜DeNAベイスターズとの開幕戦でのスタメンに名を連ねる可能性は高い。膨らむ幻想と期待。大型ルーキーが即戦力として真価と実力を示す本当の戦いがはじまる。

取材・文●チャリコ遠藤

【関連記事】二軍球場で聞いた「大谷翔平MVP」の報ーー“偉才”が遠い存在となった今、藤浪晋太郎は何を思うのか?

【関連記事】守備指標では“超優秀な強肩外野手”のヌートバー。それでも首脳陣が「かなり難しい」と課題を漏らすワケ【WBC】

【関連記事】怪腕ダルビッシュ有は何が「とんでもない」のか。侍Jのブルペンで首脳陣も脱帽した尋常じゃない技術力と異能ぶり【WBC】
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号