ヨンソン監督はオーストラリア戦後の会見で「キューバの野球関係者は誰もが感動していることだ」と吐露。今回のベスト４進出がいかに難しいタスクを乗り越えてのものだったかを振り返った。

「我々はここまで途方もない努力を重ねてきた。そしていま、大きな成功を収めている。だから、私はここまで一緒に戦ってくれたすべての人たちに感謝をしたい。彼らの応援のおかげでここにいると思っている。

　我々は国内外にいる多くのアスリートにコンタクトを取った。その中には（参加を）嫌がる人たちもいた。そして３月３日にようやく何人かが参加を決めてくれた。彼らは少しずつチームに溶け込んで、我々を助けてくれた」

　今大会もプールA開幕戦からオランダとイタリアに連敗。出鼻をくじかれたものの、少しずつ強打と実力者が揃う救援陣が見事にかみ合い始め、怒涛の３連勝でここまで勝ち上がってきた。そんな最盛期を彷彿とさせるキューバの強さは、敵将も認めるところだ。
  　オーストラリアを率いるデイビッド・ニルソン監督は、野球大国の恐ろしさを目の当たりにし、「彼らに脱帽するしかない。勝つに値した」と脱帽した。

「とても身体能力に長けた選手が多かった。それでいて野球に対して情熱的だった。敵として対峙した時には、とても粘り強く、守備のレベルも高かった。あとは各打者も粘り強かったんだ。手強かったというのが正直な感想だ」

　圧倒的な身体能力を持ったタレントたちが、力強いプレーで相手チームを打ち負かす。これこそまさにキューバ野球といえるのではないだろうか。３万5000人の観衆が詰めかけたこの日の東京ドームで快哉を叫んだ彼らに「野球大国」の復活を見た。

取材・文●羽澄凜太郎（THE DIGEST）

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