小玉はその後も改善の兆しがなかった。4回には走者を溜めてから連続タイムリーで2失点、球数は90近くにも達し、交代すべきとも見えた。
だが、それでも青柳監督は小玉を7回まで続投させた。
「小玉はいつもあんな感じでのらりくらりと言いますか。昨年の秋はそれで勝ってきたんでいけるところまで行こうと思ったんですけど、我慢ができなかったですね。この展開になると負けるなという展開にしてしまった」
指揮官は昨秋と同じように、エースが少し制球を乱しながらも立て直し、そのうちに打線が反撃するというのを期待していた。投打が噛み合い、終盤にかけて攻勢をかけていく展開を想像していた。
しかし甲子園という舞台では、一度失った流れはなかなか戻ってこない。ましてや、この日の相手は強豪・報徳学園。本格派の投手を何人も抱え、そう簡単に流れを引き渡さない強敵だった。
これが春の戦い方の難しさだ。「秋の勝ち方」が仇となり、試合の流れを見失ってしまう。投手交代などで手を打つということもあるが、指揮官は流れが変わるのを待ち続けたのだ。
青柳監督は言う。
「今日4、5点勝負だと思っていたので、6点目を早く取られていたら変えていたかもしれません。小玉の持ち味が粘り強さなんでね、(交代は)難しかった。ただ打線が2点しか取れなかったんで、それも敗因の一つかなと思います。夏は小玉が一人で投げ抜くには難しいので、今日投げた加藤もいい投手ですし、報徳さんみたいに複数の投手を育成できるようにしたいですね」
粘り強い戦い方が持ち味であることが逆に仇になり、完全に勝機を逸してしまった。
春夏通じて8度目にして初の初戦敗退は、大きな課題をチームに突きつけられた試合だった。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
だが、それでも青柳監督は小玉を7回まで続投させた。
「小玉はいつもあんな感じでのらりくらりと言いますか。昨年の秋はそれで勝ってきたんでいけるところまで行こうと思ったんですけど、我慢ができなかったですね。この展開になると負けるなという展開にしてしまった」
指揮官は昨秋と同じように、エースが少し制球を乱しながらも立て直し、そのうちに打線が反撃するというのを期待していた。投打が噛み合い、終盤にかけて攻勢をかけていく展開を想像していた。
しかし甲子園という舞台では、一度失った流れはなかなか戻ってこない。ましてや、この日の相手は強豪・報徳学園。本格派の投手を何人も抱え、そう簡単に流れを引き渡さない強敵だった。
これが春の戦い方の難しさだ。「秋の勝ち方」が仇となり、試合の流れを見失ってしまう。投手交代などで手を打つということもあるが、指揮官は流れが変わるのを待ち続けたのだ。
青柳監督は言う。
「今日4、5点勝負だと思っていたので、6点目を早く取られていたら変えていたかもしれません。小玉の持ち味が粘り強さなんでね、(交代は)難しかった。ただ打線が2点しか取れなかったんで、それも敗因の一つかなと思います。夏は小玉が一人で投げ抜くには難しいので、今日投げた加藤もいい投手ですし、報徳さんみたいに複数の投手を育成できるようにしたいですね」
粘り強い戦い方が持ち味であることが逆に仇になり、完全に勝機を逸してしまった。
春夏通じて8度目にして初の初戦敗退は、大きな課題をチームに突きつけられた試合だった。
取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。