新たな武器を携え開幕へ――。大谷からもらった“贈り物”はそんな青写真を描かせてくれたはずだったが、そう簡単にはいかなかった。
3月19日のヤクルト・スワローズ戦(神宮)では5回3失点で降板。失点シーンはフォークを打たれたものではなかったが、打者に見極められ、他の球種を痛打されるシーンも少なくなかった。そして、先述のバファローズ戦でも感覚は良化せず……。本番へ残された時間は1週間となっていた。
もっとも、不調の原因はフォークだけではなかった。「登板前に上半身のウエートを入れるようになった」と明かす才木。それも大谷と向かい合った時に圧倒的な体格差を感じさせられたのがキッカケだった。
「フィジカルの強さが違うなと。自分は細いですし、パワーがないので、まずはウェートじゃないかなと」
持ち前の向上心と、生粋の負けず嫌いの性格に火が付いた。「大谷翔平」という未知の刺激物に触れ、才木からすれば眼前に突然、越えたい、絶対に抑えたい相手が現れた形だ。
そして、侍ジャパン戦から、次の登板までの1週間の調整期間で上半身のウェートトレーニングを追加。シーズン開幕に向けて備えたものというよりは、完全に大谷を意識した改良だと言える。しかし、今まで築き上げてきたルーティンを変えたがために投球に影響が出た。ゆえに本人も「感覚が悪くなったので、やめようかなと」とポツリ。新フォークとともにウェートは一旦、傍らに置いておくことにした。
迎えた自身のシーズン初戦は、4月2日に行なわれた横浜DeNAベイスターズとの開幕3戦目のマウンドだった。この試合で才木は原点のフォークを駆使して快投。7回途中、1失点で今季初勝利を手にした。
大谷との“遭遇”から開幕までの約1か月、背番号35は前進と後退を繰り返した。では、その鍛錬の日々は無駄な時間だったのか? そんな問いには強く首を振った。
「いやいや、僕にとってめちゃくちゃ大きかったですよ。あのレベルを体感できたことは」
開幕まで1か月を切った大切な期間で球種や調整法に変化を加えたのは、それが「才木浩人」だったからだろう。科学的なトレーニングを取り入れるなど、日頃から研究熱心で常に「1番」を目指す向上心の塊なのだ。
世界一のスラッガーとの対戦は原点に立ち返らせてくれた時間でもあり、自身の目指すべき場所を示された時間でもあった。抑えた、打たれたという話ではなく、それが大谷との対戦で得た財産だった。
取材・文●チャリコ遠藤
【関連記事】石橋貴明さんの登場にジャッジ&スタントンが感激! NY局記者からは困惑の声?「彼は何者なのか? 誰か助けてくれ」
【関連記事】「本当に謙虚」チェコ代表主将がWBCでの日本人の行動を再び称賛! 母国紙で感謝を語る「信じられない経験だった」
【関連記事】大谷翔平が示した“一流の気遣い”に米メディアが反応!死球を与えた直後の謝罪に「故意でないことを示した」
3月19日のヤクルト・スワローズ戦(神宮)では5回3失点で降板。失点シーンはフォークを打たれたものではなかったが、打者に見極められ、他の球種を痛打されるシーンも少なくなかった。そして、先述のバファローズ戦でも感覚は良化せず……。本番へ残された時間は1週間となっていた。
もっとも、不調の原因はフォークだけではなかった。「登板前に上半身のウエートを入れるようになった」と明かす才木。それも大谷と向かい合った時に圧倒的な体格差を感じさせられたのがキッカケだった。
「フィジカルの強さが違うなと。自分は細いですし、パワーがないので、まずはウェートじゃないかなと」
持ち前の向上心と、生粋の負けず嫌いの性格に火が付いた。「大谷翔平」という未知の刺激物に触れ、才木からすれば眼前に突然、越えたい、絶対に抑えたい相手が現れた形だ。
そして、侍ジャパン戦から、次の登板までの1週間の調整期間で上半身のウェートトレーニングを追加。シーズン開幕に向けて備えたものというよりは、完全に大谷を意識した改良だと言える。しかし、今まで築き上げてきたルーティンを変えたがために投球に影響が出た。ゆえに本人も「感覚が悪くなったので、やめようかなと」とポツリ。新フォークとともにウェートは一旦、傍らに置いておくことにした。
迎えた自身のシーズン初戦は、4月2日に行なわれた横浜DeNAベイスターズとの開幕3戦目のマウンドだった。この試合で才木は原点のフォークを駆使して快投。7回途中、1失点で今季初勝利を手にした。
大谷との“遭遇”から開幕までの約1か月、背番号35は前進と後退を繰り返した。では、その鍛錬の日々は無駄な時間だったのか? そんな問いには強く首を振った。
「いやいや、僕にとってめちゃくちゃ大きかったですよ。あのレベルを体感できたことは」
開幕まで1か月を切った大切な期間で球種や調整法に変化を加えたのは、それが「才木浩人」だったからだろう。科学的なトレーニングを取り入れるなど、日頃から研究熱心で常に「1番」を目指す向上心の塊なのだ。
世界一のスラッガーとの対戦は原点に立ち返らせてくれた時間でもあり、自身の目指すべき場所を示された時間でもあった。抑えた、打たれたという話ではなく、それが大谷との対戦で得た財産だった。
取材・文●チャリコ遠藤
【関連記事】石橋貴明さんの登場にジャッジ&スタントンが感激! NY局記者からは困惑の声?「彼は何者なのか? 誰か助けてくれ」
【関連記事】「本当に謙虚」チェコ代表主将がWBCでの日本人の行動を再び称賛! 母国紙で感謝を語る「信じられない経験だった」
【関連記事】大谷翔平が示した“一流の気遣い”に米メディアが反応!死球を与えた直後の謝罪に「故意でないことを示した」