▼イチロー、松井秀喜
〇:国民的ビッグネーム
×:監督経験ゼロ
話題性なら二人とも落合以上だ。今さら説明の必要もない大物であり、イチローはマリナーズの「会長付特別補佐兼インストラクター」、松井はヤンキースの「GM特別アドバイザー」としてメジャーリーグとの関わりを継続しているので、最新のMLBの戦術などの知識もあるはずだ。
しかし、監督経験が一切ないまま、大きな大会で指揮するのは非常にリスキー。21年東京五輪で金メダルに導いた稲葉篤紀も監督未経験ではあったが、メジャーリーガーが不参加のオリンピックとWBCではまったく違う。そして、イチローにしろ松井にしろ、そうしたことを理解せずに大役を引き受けるようには思えない。
▼古田敦也
〇:解説者としてWBCに馴染み
×:監督としては実績不足)
秋山や落合よりもさらに古く、07年に監督をしたのが最後でも、テレビ中継で解説していたこともあってWBCに限っては“現役感”が強い。日本代表の戦いぶりなどをつぶさに見ており、監督を任されても的外れな人選や采配はしそうにない手堅さはある。
ただし、監督としての実績はないに等しい。ヤクルトでは捕手との兼任だったという事情はあるにせよ、1年目は3位、2年目は最下位で退任した。その後も幾度か監督候補に上がりながら実現していないのに、いきなり日本代表監督という大任を引き受けるか? 引き受けたとしても結果を出せるか? など不安は少なくない。
▼外国人監督
〇:外国との戦い方を知っている
×:ファンの支持を得られるか?)
代表監督が毎回なかなか決まらないのは、優勝以外はすべて失敗と見なされて非難を浴びるため、積極的に希望する者が少ないのも理由だ。それならば、その種の重圧を感じにくい外国出身者に託す手もある。他競技では外国人の代表監督は珍しくないし、大谷翔平の縁から前エンジェルス監督のジョー・マッドンを推す声もあった。つい最近までメジャーの指揮官だったマッドンなら、各国代表の特徴も熟知しているし、最新の戦法などにも明るい。
とはいえ、日本球界の実情は全然知らないので、日本のファンがWBCに寄せる思いの強さは理解していないだろう。ラーズ・ヌートバーが代表に選ばれた際も「日本人だけで戦えばいい」との声があったように、勝てなかったときの風当たりの強さは日本人監督の比ではなさそうだ。
では、外国人でも名球会員のアレックス・ラミレスはどうか。日本野球に関する知識は問題なし、DeNA監督時代にはリーグ優勝こそなかったものの、17年には3位から日本シリーズへ進むなど、短期決戦での強さを見せていた。「8番・投手」といった奇策は(“否”が多めの)賛否両論だったけれども、これも型にはまらない采配ができる証だとも言えよう。反対意見は多そうだが、日・米・ラテン球界のすべてを知るラミレスは、国際大会の指揮官としては悪くないのではないか。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
〇:国民的ビッグネーム
×:監督経験ゼロ
話題性なら二人とも落合以上だ。今さら説明の必要もない大物であり、イチローはマリナーズの「会長付特別補佐兼インストラクター」、松井はヤンキースの「GM特別アドバイザー」としてメジャーリーグとの関わりを継続しているので、最新のMLBの戦術などの知識もあるはずだ。
しかし、監督経験が一切ないまま、大きな大会で指揮するのは非常にリスキー。21年東京五輪で金メダルに導いた稲葉篤紀も監督未経験ではあったが、メジャーリーガーが不参加のオリンピックとWBCではまったく違う。そして、イチローにしろ松井にしろ、そうしたことを理解せずに大役を引き受けるようには思えない。
▼古田敦也
〇:解説者としてWBCに馴染み
×:監督としては実績不足)
秋山や落合よりもさらに古く、07年に監督をしたのが最後でも、テレビ中継で解説していたこともあってWBCに限っては“現役感”が強い。日本代表の戦いぶりなどをつぶさに見ており、監督を任されても的外れな人選や采配はしそうにない手堅さはある。
ただし、監督としての実績はないに等しい。ヤクルトでは捕手との兼任だったという事情はあるにせよ、1年目は3位、2年目は最下位で退任した。その後も幾度か監督候補に上がりながら実現していないのに、いきなり日本代表監督という大任を引き受けるか? 引き受けたとしても結果を出せるか? など不安は少なくない。
▼外国人監督
〇:外国との戦い方を知っている
×:ファンの支持を得られるか?)
代表監督が毎回なかなか決まらないのは、優勝以外はすべて失敗と見なされて非難を浴びるため、積極的に希望する者が少ないのも理由だ。それならば、その種の重圧を感じにくい外国出身者に託す手もある。他競技では外国人の代表監督は珍しくないし、大谷翔平の縁から前エンジェルス監督のジョー・マッドンを推す声もあった。つい最近までメジャーの指揮官だったマッドンなら、各国代表の特徴も熟知しているし、最新の戦法などにも明るい。
とはいえ、日本球界の実情は全然知らないので、日本のファンがWBCに寄せる思いの強さは理解していないだろう。ラーズ・ヌートバーが代表に選ばれた際も「日本人だけで戦えばいい」との声があったように、勝てなかったときの風当たりの強さは日本人監督の比ではなさそうだ。
では、外国人でも名球会員のアレックス・ラミレスはどうか。日本野球に関する知識は問題なし、DeNA監督時代にはリーグ優勝こそなかったものの、17年には3位から日本シリーズへ進むなど、短期決戦での強さを見せていた。「8番・投手」といった奇策は(“否”が多めの)賛否両論だったけれども、これも型にはまらない采配ができる証だとも言えよう。反対意見は多そうだが、日・米・ラテン球界のすべてを知るラミレスは、国際大会の指揮官としては悪くないのではないか。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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