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プロ野球

メッツのエプラーGMが西武の渡辺GMと対談!WBC世界一をもたらした侍たちの「困難を克服する力」の吸収に意欲<SLUGGER>

氏原英明

2023.06.08

「今の若い選手は、(データに)興味・関心が向いていると言うのがプラスに働いていると思います。僕たちの時代と違って見える化している方が、今の選手たちは動きやすい。だから、こういう方向に転換したほうがいいことは明らかだった」

 どれだけ素質のある選手をドラフトで指名しても、それを戦力にしていくのは難しい。それこそ育成の悩みは、12球団だけでなく、MLB球団にとっても共通の課題だ。どれだけ優秀なスカウティングシステムを構築しても、その先に選手が育つ下地がなければ何の意味もない。

 日本だけの発想では限界に来ていて、情報をいかにブラッシュアップしていくかがチームの育成力を左右する。これからは、いかに最先端の情報にアンテナを張ることができるかだろう。

 実際、NPBを見ても年々「育成球団」が移り変わっている。かつては清武英利GMが手腕を発揮していた巨人が育成選手をバンバン育てていたが、そこから日本ハム、ソフトバンクの時代となり、ここ数年はヤクルトとオリックスの評価が高い。

 元メジャーリーガーの高津臣吾監督が隆盛させたヤクルトのように、MLB経験者がチームを変えることも多く、より先進的に情報を集めることが一手先に行くのに重要となる。

 渡辺GMは言う。
 
「メカニック的なところも参考になることはいっぱいある。だから、そういう部分においてはうちも専門家はいるんですけど、そういうものは日々変わっていくものですから、情報をいち早く取り入れていかないといけない。技術コーチは技術コーチで大切な部分がたくさんあるんですけど、違う角度からのアプローチも大切になってくる。メッツの方もWBCを見て日本の野球のレベルを理解していて、どういうふうに育成してるかと興味を持っていた。これはもうお互いが、日本とアメリカのいいところを吸収していけたらと思う」

 チームの宣伝や選手の行来のための業務提携ではなく、真の意味でチームが強くなるために互助関係を結ぶ。

 二軍設備はすでに新しくなり、三軍制度も敷いているのが今の西武だ。現在はリーグ5位と苦しい戦いが続いているが、これらの取り組みの成果は未来へとつながっていくはずである。

 メッツから学び、西武が「育成球団」に変化するために。着々と進化に向かっていることは間違いない。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。
 

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