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プロ野球

「若い選手たちは思い切ってプレーしてもらえたら」――西武・松井稼頭央新監督の育てながら勝つ野球の船出<SLUGGER>

氏原英明

2023.04.04

初勝利のウイニングボールを手渡され、笑顔を見せる松井監督。「現役時代もこれほど緊張したことはなかった」と待望の白星を喜んだ。写真:産経新聞社

初勝利のウイニングボールを手渡され、笑顔を見せる松井監督。「現役時代もこれほど緊張したことはなかった」と待望の白星を喜んだ。写真:産経新聞社

 粘り強い。

 今季から西武の指揮を執る松井稼頭央監督のことだ。オリックスとの開幕カードは3月31日、4月1日と連敗スタートだったが、投手戦で推移した2日の3戦目は8回裏に期待の鈴木将平が2死一、二塁から一塁線を破るタイムリー三塁打。これが決勝点となり、松井監督に待望の初勝利をもたらした。

「この2戦は本当に長く感じていたんで、一つ勝つって難しいなと。何点差があってもハラハラドキドキしていましたけど、全員が素晴らしい力を発揮してくれました」

 松井監督はそう安堵した。

 初戦に続く息の詰まる投手戦だったが、この日は積極的に起用した若い選手たちが躍動して結果を残した。

 松井監督の選手起用や作戦は、とにかく粘り強さがある。接戦の展開でも若手を信頼しているところに、勝利と同じくらいチームの前進を期待している様子が窺えた。
 
 試合はまず、今季から先発に転向した平良海馬が7回を1失点に抑えるピッチングを披露。ハイライトはこの後の8回の攻防だった。西武はここから継投に入ったが、イニング頭から登板した水上由伸は、オリックスの先頭打者・西野真弘を四球で歩かせてしまい、犠打とライトフライで2死三塁のピンチを招く。

 すると、松井監督はここで2年目のサウスポー佐藤隼輔にスイッチ。1戦目に同点本塁打を放った森友哉、勝ち越し弾の宗佑磨を迎える厳しい場面を託した。佐藤は森に対して3球続けてストレートを選択し、センターフライに打ち取ってこの窮地を切り抜けた。

 これまでの西武は中継ぎの生え抜きサウスポーを育てられないことが課題だったが、そのピースにハマる存在として、佐藤を高く評価していたことが分かる起用だった。

「前日も投げていた中での起用でしたけど、(森)友哉に対して真っ向勝負して抑えてくれましたので、大きな成長につながったのではないかなと思います」
 
 ピンチを若手の力で乗り切ると、その裏に好機がめぐってくる。

 先頭のマキノンが四球で出塁。犠打と4番・山川穂高のレフト前ヒットで一、三塁とチャンスを広げた。5番の栗山巧は三振に倒れたものの、6番・鈴木が一塁線を破る適時三塁打を放ち2人が生還。勝ち越しを決めたのだった。
 
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