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プロ野球

“甲斐キャノン”以上の二塁送球タイムを叩き出した猛者も!最新データから再検証する捕手の「盗塁阻止能力」<SLUGGER>

DELTA

2023.06.16

 まず、走者ごとに盗塁企図率を算出する。そして、捕手視点で90%の割合で盗塁を抑止できる走者にスタートを切らせた場合には捕手に-90%、逆に抑止できた場合は+10%……というように加点・減点をしていくことで、抑止力を計ることができる。今回は二塁への盗塁に限定し、まずは昨季のデータから見てみよう。

▼2022年二盗抑止数
1位 甲斐拓也(ソフトバンク) 24.7
2位 梅野隆太郎(阪神) 14.5
3位 太田光(楽天) 11.2
4位 戸柱恭孝(DeNA) 10.1
5位 會澤翼(広島) 8.9

 やはりというべきか、日本球界最高の強肩と名高い甲斐が、ここでもトップに立っている。抑止数24.7という数字は、平均的な捕手なら97回盗塁企図されるところを72回しか許していないということになる。2位の梅野と10ポイント以上の差をつけているところを見ると、なおさら甲斐の図抜けた抑止能力が垣間見える。

 では、次に今季のデータを見てみよう。
 
▼2023年二盗抑止数
1位 森友哉(オリックス) 6.6
2位 佐藤都志也(ロッテ) 5.9
3位 安田悠馬(楽天) 4.6
4位 太田光(楽天) 4.5
5位 梅野隆太郎(阪神) 4.3

 実は、今季の甲斐の抑止数はわずか0.4。平均的な捕手と同程度スタートを切られていて、トップ5にも入っていない。代わって1位になったのが、今季からオリックスに移籍した森だ。昨季の時点で6位の7.2と優れた抑止力を見せていたが、今季はまだシーズン半ばにもかかわらず、すでにその数字に迫る6.6を記録している。平均的な捕手がおよそ21.6回企図される状況で、15回しか許していない。
 
 また今季の盗塁阻止率が.778と驚異的な数字を記録している佐藤も、すでに5.9と高い抑止力を見せている。もしかすると走者が佐藤の高い阻止能力に気づき、脅威を感じているのかもしれない。

 このように、捕手の盗塁阻止だけをとっても新しい評価が可能になっている。捕手の守備力と聞くと数値化しにくいアナログな能力に思えるが、データ分析の範囲はかなり幅広くなっているのだ。

※データはすべて6月7日時点

【著者プロフィール】
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』の運営、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。
 

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