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高校野球

KKコンビに江川、松坂、マー君ら“怪物“たち…夏の甲子園史上最強選手は一体誰だ?【SLUGGERが選ぶ本当にスゴイ夏の高校球児ベスト20:1~10位】

筒居一孝(SLUGGER編集部)

2023.08.06

●6位 太田幸司(三沢/1968・69年)

 19位の定岡正二や7位の荒木大輔、また後述する斎藤佑樹ら甲子園のアイドルの元祖といえば、“コーちゃん”こと太田幸司だ。アメリカ人の父を持つ色白のハンサムな顔立ちから、初めて女性人気が沸騰した高校球児である。試合が終わって宿舎に戻っても数十人の女性ファンが旅館を取り囲み、「ひと目でいいから顔を見せて」と窓に向かって絶叫していたというから、その人気のすさまじさが分かるだろう。

 また太田は、「甲子園のアイドルには悲劇性がつきもの」という、ある種のジンクスを最初に確立した存在でもある。69年夏は1回戦から全試合完投、松山商との決勝戦では、延長18回262球を一人で投げ抜いた末に引き分け。翌日の再試合では初回に先制2ランを被弾して2対4で惜敗し、”コーちゃんブーム”の序章は終わった。だが、その人気は同年のドラフトで近鉄入りしてからも衰えず。不人気だった当時のパ・リーグにあって、本拠地の日生球場に女子トイレを増設されるなど、ブームはその後も広がり続けた。

●5位 斎藤佑樹(早稲田実業/2006年)

 平成以降では最大のアイドルフィーバーを巻き起こしたのがこの”ハンカチ王子”だ。多くの高校球児が汗を飛び散らせながらプレーする中、マウンド上で時折、丁寧にたたんだ青色のハンカチをポケットから取り出して上品に汗を拭う―ー高校野球らしい泥臭さとは無縁のスタイルが、全国の女性ファンに受けた。斎藤が使っていた定価400円のハンカチと同じ品に、オークションサイトで1万円越えの値がついたほどだった。

 もちろん斎藤は上品なだけの選手ではなかった。2回戦の大阪桐蔭戦では、1学年下の超高校級のスラッガー、中田翔を4打数無安打3三振に抑え込んだ。その後も快投を続け、ついに決勝に進出する。相手は駒大苫小牧。04~05年の夏を連覇した強豪、しかもエースは“北の怪物”田中将大を向こうに回し、延長15回を1失点で投げ抜きながら引き分け。翌日も9回を完投して頂点をつかみ取り、早稲田実業に初の夏制覇をもたらした。全69イニング&948球は、現在に至るまで大会最多記録。78奪三振も歴代2位と、”ハンカチ王子”の放った輝きは確かに本物だった。
 
●4位 田中将大(駒大苫小牧/2005・06年)

 高校最後の夏は決勝で斎藤佑樹(早稲田実業)に敗れたが、実績と実力は勝るとも劣らない。1年時は捕手で甲子園のメンバーには入らなかったが、2年から投手として台頭。05年夏の甲子園では、2投手と併用されながらもチーム最多の25.2回を投げた。決勝ではリリーフ登板して胴上げ投手にもなり、最後の1球で2年生では史上初の150キロを叩き出したことでも話題を集めた。

 3年夏は大会直前に体調を崩したが、それでも初戦の南陽戦で165球完投勝利を挙げたのを皮切りに、6登板中4登板で2ケタ奪三振と圧巻の投球。3回戦の青森山田戦は3回途中から登板し、一時は6点のビハインドを負う苦しい展開ながら、粘りのピッチングで逆転サヨナラ劇を呼び込む好投。斎藤擁する早稲田実業との決勝戦でも3回途中からのリリーフ登板ながら、執念の165球で1失点と一歩も譲らず、甲子園史上最大級の名勝負を演出した。再試合も味方が先制を許した後の2回途中からリリーフ。9回表、最後の打者として斎藤の高めのストレートを空振り三振した姿も印象深い。

●3位 桑田真澄(PL学園/1983・84・85年)

“KKコンビ”の片割れである清原和博が「甲子園史上最強の打者」なら、こちらは「甲子園史上最強の二刀流」と呼ぶべきか。投打それぞれならさらに上の実力を持つ選手がいたが、双方をこれほど高い完成度で両立した選手は他にいない。

 投手としては1年生からエースを務め、甲子園に5季連続出場。1年夏にいきなり優勝投手(しかも当時15歳!)となり、戦後最多の甲子園通算20勝(3敗)を挙げた。清原が語るところによれば、他にもさまざまな球種が投げられたにもかかわらず、高校時代はストレートとカーブだけで通したという。打者としても、甲子園歴代2位の通算6本塁打。初本塁打は1年夏で、しかも大会屈指の好投手・水野雄仁(池田)から放ち、実は第1号は清原よりも早かった。熱く不器用な清原、クールでスマートな桑田とキャラクターも対照的だった2人は、プロ入り後もライバルとしてファンを沸かせ続けた。
 
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