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MLB

大谷の右ヒジ靱帯損傷で改めて浮上するエンジェルスの“無策”ぶり。稀代の才能を浪費したオーナーの罪は大きい<SLUGGER>

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2023.08.24

 そんな風に考えてしまうのは、大谷加入以降のエンジェルスがあまりにも無策だったからかもしれない。トラウト、アンソニー・レンドーンに気前良く超大型長期契約を与える一方で、弱点の先発投手陣の強化はほぼ手つかずのまま。ある程度の補強はしても、GMにはぜいたく税の課税ラインを超えないことが求められていたため、中途半端な戦力のシーズンが続いた。ファーム組織の再建・充実にも無関心で、大谷のFA時期が近づいてからようやくドラフトで即戦力型の大学生選手を大量に指名し、マイナーで十分な育成も行わないまま次から次へとメジャーへ昇格させた。

 はっきり言って、今時こんないい加減なフランチャイズは珍しい。今日の会見でペリー・ミナシアンGMは「損傷が見つかった後も、2試合目に出たい言うところが彼らしい」と語ったが、大谷の熱意をしっかり生かせるチーム作りは最後までなされないままだった。
 
 大谷のトレード説が盛んに取り沙汰されていた頃、こんなことがよく言われていた。「アート・モレノ・オーナーは『大谷を放出したオーナー』として歴史に名を残したくないのだ」と。だが、モレノはすでに十分な汚名を残している。何せ、トラウト&大谷というMLB史上屈指のデュオを擁している間に一度もポストシーズンに出場できなかったのだから。

 無策の上に無策を重ね、最後には大谷を2度目のトミー・ジョン手術に追い込む結果になるとしたら、モレノは間違いなく“史上最悪のオーナー”の一人として記憶されるだろう。

構成●SLUGGER編集部
 
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