専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

「世界的にはマイナースポーツ」「アメリカでの人気は低下」...某女性タレントの発言から考える野球の“真の世界的人気”<SLUGGER>

出野哲也

2023.09.08

 しかしながら、ビジネスという観点では野球の市場は相当大きい。世界のプロスポーツリーグの総収入を見てみると、1位はNFL(フットボール)、2位がMLBで、日本プロ野球=NPBも11位につけている。観客動員の総数だとMLBとNPBがワンツーだ。例えば、バレーボールは世界的な広がりという点では野球を上回るけれども、プロで最も規模が大きいロシアのスーパーリーグでさえ、収益では100位以内にも入らない。

 このようなデータを基にして、インターネット上では「世界の人気スポーツランキング」を紹介しているウェブサイトがいくつも存在するが、ほぼすべてのサイトで野球は8位以内に入っている。まさかこのようなリストを作成しているのが、全員野球を贔屓しているわけはないだろう。公平に見て野球は世界で十指に入る人気スポーツであり、そのトップに君臨する大谷は明らかに世界的アスリートと言い切れる。
 ただし、このタレントが「確かにみんなショウヘイ、知ってるんだけど、温度差があるかな?」と言っていたのはその通り。なぜなら、大谷は日本では国民的英雄であるけれども、アメリカ人にとっては「すごい野球選手」以上の存在ではないからだ。それこそWBCでは彼に優勝を阻まれたわけで、アメリカのナショナル・ヒーローになりえないのは当然のこと。アジア人で差別されているから――というわけではまったくない。

 7月に『スポーツ・イラストレイテッド』は「スポーツ界で最も影響力のある50の事物」を選定。アスリート部門で選ばれた12人の中で、大谷はパトリック・マホームズ(フットボール)、キリアン・エムバペ(サッカー)、大坂なおみ(テニス)らに続き、タイガー・ウッズ(ゴルフ)やリオネル・メッシ(サッカー)より上位の7位だった。来季の年収は8000万ドルを超えると予測され、控えめに見積もっても世界中のアスリートのトップ20に入る。こんな選手に注目が集まり、日々その動静がニュースになるのは不思議でも何でもないのだ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。

【関連記事】大谷翔平が出場直訴も…指揮官認めず「私はプレーさせるつもりはなかった」エ軍ネビン監督が舞台裏を明かす

【PHOTO】大谷翔平が魅せる喜怒哀楽の厳選ショット30枚!(Part1)

【PHOTO】大谷翔平が魅せる喜怒哀楽の厳選ショット30枚!(Part2)
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号