しかしながら、ビジネスという観点では野球の市場は相当大きい。世界のプロスポーツリーグの総収入を見てみると、1位はNFL(フットボール)、2位がMLBで、日本プロ野球=NPBも11位につけている。観客動員の総数だとMLBとNPBがワンツーだ。例えば、バレーボールは世界的な広がりという点では野球を上回るけれども、プロで最も規模が大きいロシアのスーパーリーグでさえ、収益では100位以内にも入らない。
このようなデータを基にして、インターネット上では「世界の人気スポーツランキング」を紹介しているウェブサイトがいくつも存在するが、ほぼすべてのサイトで野球は8位以内に入っている。まさかこのようなリストを作成しているのが、全員野球を贔屓しているわけはないだろう。公平に見て野球は世界で十指に入る人気スポーツであり、そのトップに君臨する大谷は明らかに世界的アスリートと言い切れる。 ただし、このタレントが「確かにみんなショウヘイ、知ってるんだけど、温度差があるかな?」と言っていたのはその通り。なぜなら、大谷は日本では国民的英雄であるけれども、アメリカ人にとっては「すごい野球選手」以上の存在ではないからだ。それこそWBCでは彼に優勝を阻まれたわけで、アメリカのナショナル・ヒーローになりえないのは当然のこと。アジア人で差別されているから――というわけではまったくない。
7月に『スポーツ・イラストレイテッド』は「スポーツ界で最も影響力のある50の事物」を選定。アスリート部門で選ばれた12人の中で、大谷はパトリック・マホームズ(フットボール)、キリアン・エムバペ(サッカー)、大坂なおみ(テニス)らに続き、タイガー・ウッズ(ゴルフ)やリオネル・メッシ(サッカー)より上位の7位だった。来季の年収は8000万ドルを超えると予測され、控えめに見積もっても世界中のアスリートのトップ20に入る。こんな選手に注目が集まり、日々その動静がニュースになるのは不思議でも何でもないのだ。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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