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MLB

「スプリッターは翔平から教わったんだ」37歳で自己最高の投球を続ける右腕が語る「開花の理由」と「日本での経験」<SLUGGER>

杉浦大介

2023.09.21

――ピッチングに話を戻すと、スプリッターは日本で身につけたものだったんでしょうか?

実は(大谷)翔平から学んだんだよ。翔平はいいスプリッターを持っていて、日本で彼に握りを聞いたことがあった。15年にはヤンキースで田中(将大)にもスプリッターの握り、投げる際の心持ちを聞いていた。僕は翔平と同じ握りで投げているけど、リリースの仕方、投げ方は違う。彼のスプリッターの方が落差は大きい。僕が投げているのはフォークボールではなく、よりハードで伝統的なスプリット・フィンガード・ファーストボールだ。ただ、アイデア自体は翔平と田中から得たもので、それを自分のものにしていった感じだ。試行錯誤を続け、今では重要な武器になったと思う。

――37歳になった今季、これほど素晴らしい投球を続けてきました。あとどれくらい投げ続けるか、考えることはありますか?

5歳、3歳、8ヵ月の3人の子供がいるから、できれば子供たちが覚えていられるくらいプレーしたいという気持ちはある。まだ力を残しているのに、マウンドを離れてしまったら後で後悔するんじゃないかと思う。だから身体が言うことを聞いてくれる間は投げ続けたい。
 
――すでに日本、アメリカの両方で優勝を経験したあとで、今の目標は?

もう一度、世界一になることだ。いつでもそれが目標だよ。一度でも優勝の味を味わうと、「またあの場所に戻りたい」とよりハングリーになるんだ。プレーオフは最高だし、ワールドシリーズでの登板以上の経験はない。その過程でチームが一丸となのも気持ちがいい。あの経験をもう一度味わい、また世界一に貢献するために投げ続けているんだよ。

――最後になりますが、大谷選手とはまだ連絡を取り合っているのでしょうか?

テキサス(・レンジャーズ )でプレーしていた頃は、同じ地区内だからよく顔を合わせて、BPの際に話したりしていた。ただ、今では彼はやるべきことが増え、クラブハウスにこもって体力をセーブするようになった。エンゼルスが今季、ボストンに来た時は翔平の登板日だったこともあって、話す機会がなかったのは残念だった。

――あなたは日本から大谷選手のプレーを見てきましたが、今の彼がメジャーでやっていることに驚いていますか?

いや、そんなことはないね。ここまでの成績を残すとは考えなかったというのが正直なところだけど、彼にはとてつもない可能性があるのはずっと前から分かっていた。すごい才能に恵まれているだけでなく、大変なハードワーカーでもある。しかもこのゲームが大好きだ。そんな彼があれほどの数字を叩き出していることに、驚くべきではないだろう。

――大谷選手のように、あなたも打つ方もいけるのでしょうか?

いや、もうダメだ。歳をとってしまったからね(笑)。

取材・文●杉浦大介

【著者プロフィール】
すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。

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