3つ目は「強い打球」だ。「オオタニは常にエリート級の打球速度を記録している。平均打球速度は94.4マイル(約151キロ。打者中トップ1パーセント)で、ハードヒット率が54.2パーセント(打者中トップ3パーセント)。このいずれもがキャリアベストだった。キャリア平均の打球速度は92.8マイル(約149キロ)、ハードヒット率は49.9パーセントのため、23年は大幅にジャンプアップした」と今季の打力を称えている。
アドラー記者は加えて、高い打球速度を記録する頻度にも着目。「興味深いのは、極端に高い打球速度の頻度の多さだ。スタットキャスト(MLBが導入しているデータ解析ツール)のハードコンタクトの基準は95マイル(152.9キロ)だが、稀に110マイル(177キロ)や115マイル(185キロ)以上を定期的に記録する危険な打者がいる。オオタニはそのなかのひとりだ」と記した。
4つ目に挙げたのは、「最高の自分を組み合わせた」ことだ。「メジャーリーガーとしてのオオタニには、2つの決定的なシーズンがあった。新人賞を受賞した18年のルーキーイヤーと、自身初のMVPに輝いた21年シーズンだ。しかし、この2つシーズンのオオタニは全く別の選手だった。具体的には、ホームランバッターとしてのタイプが違っていた」として、本塁打の特徴が異なる点を指摘。「18年はセンターから左中間方向へのホームランが多く、対照的に21年はライト方向へのホームランが多かった。そして23年はそのふたつの特徴を合わせたかのように、全方向にバランスよくホームランを打ち込んだ」と伝えた。
最後の5つ目は、「スイーパーの完全攻略」だ。「水平方向に大きくスライドする変化球スイーパーが、近年のMLBで流行。投手オオタニもスイーパーの名手として知られている。だからなのか、打者オオタニは相手投手のスイーパーを打ち砕くのだ。シーズン最初の2か月、オオタニはスイーパーに対して打率.333、安打率.833を記録し、2本のホームランを放った。平均打球速度は92.0マイル(約148キロ)、ハードヒット率は67パーセント、バレル率は22パーセントを記録。そして6月以降、オオタニにスイーパーを投げる投手はほとんどいなくなった」と振り返っている。
またアドラー記者はボーナストラックとして、投手・大谷が球種を増やしている点にも触れた。「この数シーズンで、カッター、ハードスライダー、シンカーを持ち球に加えた。スラーブを混ぜている兆候もある。オオタニは21年に導入したカッターを、23年にはキャリアハイの16パーセントの確率で投げた。シンカーの使用率も上がっており、25年以降はスイーパーと組み合わせるかもしれない。シンカーとスイーパーのコンボは非常に効果的だ」と、投手としての進化にも言及した。
このように大谷を分析したアドラー記者は、「調整能力や新たな試みとそれを使いこなす能力が、比類なき唯一無二の選手となった理由だろう」とまとめている。右肘を手術した大谷は24年シーズン、投手として登板せずに打者に専念する。そうした状況で、はたしてどのような成績を残すのだろうか。さらに進化した姿を見せてくれるかもしれない。
構成●THE DIGEST編集部
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アドラー記者は加えて、高い打球速度を記録する頻度にも着目。「興味深いのは、極端に高い打球速度の頻度の多さだ。スタットキャスト(MLBが導入しているデータ解析ツール)のハードコンタクトの基準は95マイル(152.9キロ)だが、稀に110マイル(177キロ)や115マイル(185キロ)以上を定期的に記録する危険な打者がいる。オオタニはそのなかのひとりだ」と記した。
4つ目に挙げたのは、「最高の自分を組み合わせた」ことだ。「メジャーリーガーとしてのオオタニには、2つの決定的なシーズンがあった。新人賞を受賞した18年のルーキーイヤーと、自身初のMVPに輝いた21年シーズンだ。しかし、この2つシーズンのオオタニは全く別の選手だった。具体的には、ホームランバッターとしてのタイプが違っていた」として、本塁打の特徴が異なる点を指摘。「18年はセンターから左中間方向へのホームランが多く、対照的に21年はライト方向へのホームランが多かった。そして23年はそのふたつの特徴を合わせたかのように、全方向にバランスよくホームランを打ち込んだ」と伝えた。
最後の5つ目は、「スイーパーの完全攻略」だ。「水平方向に大きくスライドする変化球スイーパーが、近年のMLBで流行。投手オオタニもスイーパーの名手として知られている。だからなのか、打者オオタニは相手投手のスイーパーを打ち砕くのだ。シーズン最初の2か月、オオタニはスイーパーに対して打率.333、安打率.833を記録し、2本のホームランを放った。平均打球速度は92.0マイル(約148キロ)、ハードヒット率は67パーセント、バレル率は22パーセントを記録。そして6月以降、オオタニにスイーパーを投げる投手はほとんどいなくなった」と振り返っている。
またアドラー記者はボーナストラックとして、投手・大谷が球種を増やしている点にも触れた。「この数シーズンで、カッター、ハードスライダー、シンカーを持ち球に加えた。スラーブを混ぜている兆候もある。オオタニは21年に導入したカッターを、23年にはキャリアハイの16パーセントの確率で投げた。シンカーの使用率も上がっており、25年以降はスイーパーと組み合わせるかもしれない。シンカーとスイーパーのコンボは非常に効果的だ」と、投手としての進化にも言及した。
このように大谷を分析したアドラー記者は、「調整能力や新たな試みとそれを使いこなす能力が、比類なき唯一無二の選手となった理由だろう」とまとめている。右肘を手術した大谷は24年シーズン、投手として登板せずに打者に専念する。そうした状況で、はたしてどのような成績を残すのだろうか。さらに進化した姿を見せてくれるかもしれない。
構成●THE DIGEST編集部
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