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72歳まで支払いが継続、引退後に年1500万ドルも受け取る選手も――大谷の新契約に含まれる「年俸後払い形式」をめぐる珍エピソード<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.12.11

 それだけならまだいいが、ボニーヤ最後にメッツでプレーした年の成績は60試合で打率。160、4本塁打、OPS.579という惨憺たる数字。ボニーヤに後払い分の年俸が支払われる7月1日(俗に「ボビー・ボニーヤ・デー」とも称される)は、毎年メッツファンに「こんな成績の尻拭いのために毎年120万ドルを払わなければならないのか」と“黒歴史”が突きつけられる忌まわしい日となっている。

 他にも、超長期にわたる「後払い」が提案された例がある。

 18年のシーズン中、ナショナルズはオフにFAを控えたブライス・ハーパー(現フィリーズ)に対し、何と2072年までの後払いを含んだ延長契約をオファーしていたという。実現していればハーパーには80歳まで支払いが継続されるはずだったが、本人が「65歳まで給料を受け取るような人間にはなりたくない」と拒否したため実現しなかった。
 
 最後に紹介する例も、考えてみればかなり奇妙な話だ。今季、アメリカン・リーグ最多の101勝を挙げるなど大躍進を遂げたオリオールズの“最高年俸”選手は、21年に現役を引退したクリス・デービスの1540万ドルだった。なぜ、このような事態になったのか。それは、デービスが15年に結んだ7年1億6100万ドルの超大型契約のおよそ4分の1が後払い形式になっていたため。加えて、若手中心のオリオールズには高額年俸選手がいなかったため、「すでにユニフォームを脱いだ選手がチーム最高年俸」という前代未聞の状況となったのだ。

 一部報道によれば、後払いによって大谷の年俸は「4000~5000万ドル程度まで抑えられるかもしれない」とすら言われている。今から数十年後、大谷への“後払い”がボニーヤやデービスと同じ文脈で語られることがないように祈りたい。

構成●SLUGGER編集部

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