そのプレッシャーもあったのか、15年の前半戦はOPS.619と低迷した。それでも、ジラルディ監督はグレゴリアスを起用し続け、力づける言葉をかけるだけでなく、プレーに関するアドバイスも与えた。グレゴリアスは記者にジラルディ監督とのエピソードを尋ねられ、ダイビングキャッチを試みる際に、水泳の飛び込み選手のようにダイブすることを指導されたと答えた。ちなみに、ジラルディ監督は元捕手だ。
会見に同席したジラルディ監督に、紺ではなく赤のピンストライプが入ったユニフォームを着せてもらったグレゴリアス。フィラデルフィアのファンはニューヨーク以上に手厳しいことで知られるが、その分、活躍すれば熱いサポートを受けられる。好成績を残してチームを久々のプレーオフに導くことができれば、FA市場の存在感も高まるはず。2020年はグレゴリアスにとってキャリアで最も重要なシーズンになるかもしれない。
文●宇根夏樹
【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。