専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

「勝負の1年」で見事に“限界突破”。独立リーグからプロ入りをつかんだ中日ドラフト5位・土生翔太の成り上がり物語<SLUGGER>

岩国誠

2024.01.09

 土生自身も、この1年での自らの投球に対する考え方の変化を強く感じている。

「ストレート(の球速)も上がりましたし(茨城の1年で)技術的にも一段上に上がれたと感じていますが、一番は考え方が変わったことで、前よりバッターを見られるようになったこと。そこが結果につながったと思っています。以前は『こうしなければ』と自分にベクトルが向いていたのですが、試合を重ねて行く中でバッターを見て「何を狙っている」とか「このカウントなら(バッターは)ここを狙うかな」とか、相手を観察できるようになったので、そこは変わったと思います」

 アストロプラネッツは20年オフから就任した色川冬馬GMの下、選手個々が目標とするNPB入りに向け、技術やフィジカル強化だけでなく、考える力を養うプログラムにも力を入れるなど、数多くある独立リーグのチームの中でも独創的な選手育成を行っている。

「チームとしては『回答ができないことを許さない』という厳しさを選手たちに課してきました。『はい、いいえ』という答えではなく『自分はこうしたい』と言えないといけないということですね」(色川GM)
 選手と首脳陣が定期的に面談を行い、選手個々の現在地を確認しながら、NPB入りという目標に向けて自らの意思を示し、そこに向けて何をすることがベストなのかを共に探っていく。その結果、当初は先発だった土生も、ドラフト戦略と適性を考慮し、8月からはリリーフに転向。巨人三軍との試合でさっそく好結果を残した。

 自らがぶつかった壁に正面から向き合い、その壁を数多く乗り越えた土生翔太。その結果が夢だったドラフト指名へつながった。

 そして土生には、心強い味方もいる。茨城でバッテリーを組み、同じ夢へ向かって進んでいた高卒1年目捕手・日渡騰輝も中日から育成1位指名を受けたのだ。

 年齢は離れている2人だが、いつかは一軍でバッテリーを。そんな野球漫画のようなストーリーが見られる日を今から楽しみに待ちたい。

取材・文●岩国誠

著者プロフィール
いわくにまこと:1973年3月26日生まれ。32歳でプロ野球を取り扱うスポーツ情報番組のADとしてテレビ業界入り。Webコンテンツ制作会社を経て、フリーランスに転身。それを機に、フリーライターとしての活動を始め、現在も映像ディレクターとwebライターの二刀流でNPBや独立リーグの取材を行っている。

【関連記事】「富山にすごいボールを投げるヤツがいる」独立リーグで159キロを叩き出した豪腕・大谷輝龍は幕張で“光輝く龍”へ進化する

【関連記事】【どこよりも早い2024ドラフト候補ランキング│11~20位】高校生No.1左腕の呼び声高い八戸学院光星・洗平はさらなる成長に期待<SLUGGER>

【関連記事】【どこよりも早い2024ドラフト候補ランキング│21~30位】成長著しい法政大・吉鶴に加え都内の進学校に現れた原石にも注目<SLUGGER>
 

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号