去年11月に富山で行われた球団指名挨拶に立ち会った榎康弘アマスカウトディレクターも「落ち着いて自分のことはしっかりできるし、やることは分かっている選手なので（プロでも）心配はしていない」と話していた通り、プロ入り初キャンプにもかかわらず、落ち着いて取り組んでいるように見えていた。
  「泰然自若」。富山時代の受け答えからもそういう印象を受けていた大谷なら、初日からマイペースを貫けるのもうなずける。しかし、実際に話を聞いて見ると、ポーカーフェイスの表情からとは全く違った胸の内を明かしてくれた。

「いや、もう、わからないことだらけで、緊張しましたけど…なんとか乗り切りました」

　緊張がピークに達したのは、キャッチボール後の投内連携だった。同じ組に入ったのが、去年10勝を挙げた小島和哉と種市篤暉、さらに大谷自身が「いろいろ聞いてみたい」と入団前に話していた佐々木朗希など、今後のロッテを担う若きエース候補たち。さらに一塁には安田尚憲、三塁には中村奨吾とレギュラークラスの野手に囲まれていたのだから、緊張しないのも無理な話だった。

「なんか凄い人ばっかりだったんで、『ちょっとこの中でやっていけるのかな』っていう感じはありました」

　そんなことを考えてながらも、しっかりゴロを捌いていた大谷。ただ、何度か小野晋吾投手コーチに、マウンド上での動きを指摘される場面があった。

「（ゴロを捕球する）プレーの前にちゃんと（内野手に）確認をとるようにという指示でした。僕もちょっとテンパっていたので、できていなかった。そこはちゃんとやっていかないとと思います」

　小野コーチにも、その内容について確認してみた。

「ルーキーですからね。ちょっと普段（合同自主トレで）やっていたことが、確認とかいろいろできていなかったので、僕から話しをさせてもらいました。ただ、動き時代は自主トレからしっかりやってきているなっていうことは確認できました」