プロ仕様に守備を一からやり直していった一方で、打撃、走塁では着々と持ち味を発揮した。特に自慢の脚力は、プロの盗塁技術を学んだことで着実にスキルアップ。29盗塁を決め、イースタン・リーグの盗塁王に輝いた。
昨季一軍レギュラー陣の顔ぶれを見ても、盗塁王の金子侑司を筆頭に源田、外崎修汰、木村文紀と、盗塁数のリーグ10傑に4人が名を連ねているように、辻監督の求める野球において、“足”は非常に重要視されている能力である。二軍とはいえ「盗塁王」の称号は、大きなアピールとなることは間違いない。
また、打撃面でもポテンシャルを示した。最大の魅力は“パンチ力”。一軍では14打数1安打、打率.071に終わったが、ファームでは打率.271、12本塁打と、いずれもチームトップの成績を挙げている。さらに、11月23日(土)から参加した『2019アジアウインターベースボールリーグ(AWB)@台湾』では、出場12試合で打率.389、2本塁打と結果を残した。
期間中、チームメイトとなった他チームの選手、コーチなどとの交流からも多くの学びを得た。なかでも、チームを率いた藤本博史監督(ソフトバンク三軍監督)からのアドバイスは大きかったという。
「それまでは、常に“最高の結果”だけを求めていました。でも、そうではなくて、例えば走者二塁での打席だとしたら、右方向への打球が求められる。僕の中では一、二塁間のヒットだけを目指していたのですが、藤本監督から『それだと、ファウルになってしまうから、セカンドゴロぐらいを打てばいいんじゃないかな』と言われて、気持ちが少し楽になりました」
満点回答だけではなく、“最低限の役割”が明確になり、肩の力を抜いて打席に立てるようになったことは、今後にもつながる大きな収穫だ。
中堅手・秋山が抜けたことで、シンプルに考えればポジションが空くのは外野だが、今季二塁で全試合出場を果たした外崎も、2017年、2018年と外野手としても高いポテンシャルを発揮しており、状況によっては再び外野を守る可能性も考えられる。逆に言えば、背番号「4」の台頭次第で指揮官に選択肢を与えられるということだ。
「僕が(二塁を)『空けさせる』ぐらいの気持ちで頑張りたい」と、山野辺本人もポジション奪取に目を輝かせる。1年目は「いろいろ悩んでいた部分もあったとは思う」とプロの世界への順応の難しさを考慮しつつも、渡辺久信ゼネラルマネージャー(GM)は「本来はしっかりと守れる選手。持ち味である打撃を生かしながら、自信をつけてやっていってほしい」と、揺るぎなき信頼と期待を口にしている。
端からエリートなど目指していない。歩みは速くなくとも、泥臭く、自ら見て聞いて学び、試して確実に血骨にし、飛躍していくタイプ。公私とも、プロの世界に完全にアジャストした2年目からの本領発揮が楽しみだ。
取材・文●上岡真里江(フリーライター)
かみおかまりえ。大阪生まれ。東京育ち。スポーツ紙データ収集アルバイト、雑誌編集アシスタント経験後、横浜F・マリノス、ジュビロ磐田の公式ライターを経て、2007年より東京ヴェルディに密着。2011年からは、プロ野球・西武ライオンズでも取材。球団発刊『Lions magazine』、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)、『文春野球』(文春オンライン)などで執筆・連載中。
昨季一軍レギュラー陣の顔ぶれを見ても、盗塁王の金子侑司を筆頭に源田、外崎修汰、木村文紀と、盗塁数のリーグ10傑に4人が名を連ねているように、辻監督の求める野球において、“足”は非常に重要視されている能力である。二軍とはいえ「盗塁王」の称号は、大きなアピールとなることは間違いない。
また、打撃面でもポテンシャルを示した。最大の魅力は“パンチ力”。一軍では14打数1安打、打率.071に終わったが、ファームでは打率.271、12本塁打と、いずれもチームトップの成績を挙げている。さらに、11月23日(土)から参加した『2019アジアウインターベースボールリーグ(AWB)@台湾』では、出場12試合で打率.389、2本塁打と結果を残した。
期間中、チームメイトとなった他チームの選手、コーチなどとの交流からも多くの学びを得た。なかでも、チームを率いた藤本博史監督(ソフトバンク三軍監督)からのアドバイスは大きかったという。
「それまでは、常に“最高の結果”だけを求めていました。でも、そうではなくて、例えば走者二塁での打席だとしたら、右方向への打球が求められる。僕の中では一、二塁間のヒットだけを目指していたのですが、藤本監督から『それだと、ファウルになってしまうから、セカンドゴロぐらいを打てばいいんじゃないかな』と言われて、気持ちが少し楽になりました」
満点回答だけではなく、“最低限の役割”が明確になり、肩の力を抜いて打席に立てるようになったことは、今後にもつながる大きな収穫だ。
中堅手・秋山が抜けたことで、シンプルに考えればポジションが空くのは外野だが、今季二塁で全試合出場を果たした外崎も、2017年、2018年と外野手としても高いポテンシャルを発揮しており、状況によっては再び外野を守る可能性も考えられる。逆に言えば、背番号「4」の台頭次第で指揮官に選択肢を与えられるということだ。
「僕が(二塁を)『空けさせる』ぐらいの気持ちで頑張りたい」と、山野辺本人もポジション奪取に目を輝かせる。1年目は「いろいろ悩んでいた部分もあったとは思う」とプロの世界への順応の難しさを考慮しつつも、渡辺久信ゼネラルマネージャー(GM)は「本来はしっかりと守れる選手。持ち味である打撃を生かしながら、自信をつけてやっていってほしい」と、揺るぎなき信頼と期待を口にしている。
端からエリートなど目指していない。歩みは速くなくとも、泥臭く、自ら見て聞いて学び、試して確実に血骨にし、飛躍していくタイプ。公私とも、プロの世界に完全にアジャストした2年目からの本領発揮が楽しみだ。
取材・文●上岡真里江(フリーライター)
かみおかまりえ。大阪生まれ。東京育ち。スポーツ紙データ収集アルバイト、雑誌編集アシスタント経験後、横浜F・マリノス、ジュビロ磐田の公式ライターを経て、2007年より東京ヴェルディに密着。2011年からは、プロ野球・西武ライオンズでも取材。球団発刊『Lions magazine』、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)、『文春野球』(文春オンライン)などで執筆・連載中。