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MLB

「変化の多い1年になる」レッズ・秋山翔吾が語ったメジャー挑戦の意義

氏原英明

2020.01.21

西武に挨拶に訪れた秋山は、日本でのキャリアを振り返りつつ、新天地での意気込みを語った。写真:氏原英明

西武に挨拶に訪れた秋山は、日本でのキャリアを振り返りつつ、新天地での意気込みを語った。写真:氏原英明

 その狙いが功を奏すると、一気に突っ走った。
 2015年はシーズン216安打のパ・リーグ新記録を樹立。2017年から3年連続で最多安打のリーグタイトルを当たり前のように取り、「秋山=ヒットメーカー」を定着させたのである。

 秋山がスタイルを確立できた背景には、チームメイトの存在があったという。

「ライオンズにホームランを打つバッター、クリーンアップを打てるバッターがたくさんいたおかげで、一番を打たせてもらった。チームによっては、クリーンアップを打つとか、長打を求められることがあり得たわけですけど、僕の中ではできないことはできないと思わせてくれるくらいの選手がいた。チームのいろんな選手のおかげで自分の役割を見失わずにやれたのはありがたかったと思います」

 入団当時は衝撃を受けたプロの世界で、日々変化していった。
 変えてはいけないもの、変えるべきものを自分の中で整理して、成長へつなげた9年だった。
 
 今年で32歳になる秋山が海を渡る意義は大きい。
 彼ほどのキャリアであれば、約束されたN P Bでの生活があっただろうし、年齢が契約のネックになる世界では、挑戦が必ずしも正解ではないと思う選手も少なくはない。

 しかし、それでも彼は進むことを選択したのである。

 メジャーで見た光景に、西武入団時と同じ「衝撃」を受けたことに、さらなる秋山の新境地を見る。

 秋山はこう言った。

「同じ環境に身を置いていれば、見える景色もやらなきゃいけない仕事も変わらなかったと思う。向こうに行って、言葉のこと、生活環境、日程もそうだし、変化の中で自分がどれだけ対応できるのかは、今まで野球をやってきた以外のところの、許容だったり幅は広がると思う。その中で高い数字を残せたら、またいろんな人が評価してくれる。変化の多い年になると思います」

 日本に残っていれば、活躍はできても、「許容」や「幅」の変化は生まないだろう。

 それを求めて海を渡る。

 日本を代表するヒットメーカーは、これからプレイヤーとしてどう成長していくのだろうか。

 まだ見ぬ秋山翔吾に会えるのかもしれない。
 メジャーリーグという舞台で。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

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【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた

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