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MLB

「同じような数字なんで面白くない」――慌てず、騒がず、虎視眈々と渡米4年目の“勝負”に挑む鈴木誠也<SLUGGER>

ナガオ勝司

2025.03.10

 シンプルな行動原則に従って、彼は1月の自主トレーニングで、ヒットゾーンにより長くバットの軌道を通す意識付けを徹底した。キャンプに入ってからも室内練習場にこもり、野外での打撃練習で、「2025年型Seiya Suzuki」のスイングをアップデートしてきた。

 日本開幕戦まで残すところ10日を切った今、オープン戦で投手相手に理想と現実の接点をようやく見つけ出そうとしている。今はまだ、打撃の調子を問うような状態ではないかも知れないが、コツコツとなにかを作り上げている感じがするのは気のせいではないだろう。

 事が起きれば、それは連鎖反応のように広がっていく。

 一回に中前適時打を放った鈴木は、続く4番ダンズビー・スワンソンの四球で二塁に進むと、5番カーソン・ケリーの中前にフラフラと飛んだ打球で絶好のスタートを切り、本塁に生還した。

 これぞ、2025年の仔熊(カブス)野球! などと大げさに喧伝するつもりはないのだが、今年はクレイグ・カウンセル監督直々に迎え入れたクエンティン・ベリー一塁コーチ(外野担当)と、ホゼ・ハビアー三塁コーチ(内野担当)が、キャンプ初日から守備・走塁練習で細かい指導をしており、それが実戦に反映された瞬間に思えた。鈴木は言う。

「いろいろ細かいけど、大事なことだと思います。走塁練習、今年はすごく多いですし、ああいう判断プレーだったりとかは、チーム的に力を入れていることだと思う。ちょっと遅れたかなとは思ったんですけど、ギリセーフだった」

 メディアがその好走塁を持て囃そうとすると、『いや、そういうことじゃないんだ』と、我々というより自分を戒めるように言うのが、鈴木誠也という野球選手である。
「自分の中では一歩、遅れたんですけどね。もうちょっと外野の守備位置とか、ちゃんと頭に入っていれば、もう少しいいスタート切れたと思う。ちょっと時間の……ピッチ・クロック(投球間隔制限)とかもあって、結構、バタバタしていて、なんかいろんなことやってたら(外野の守備位置を)見れなかった。次はそういうところもしっかり見て、もうちょっと準備をしっかりしてやりたいなと思います」

 準備と言えば、この日、鈴木は公式戦、オープン戦を通じて、MLB移籍後初の「センター」で出場した。それは昨季、メジャーで頭角を現した若手の「フィジカルお化け」の“PCA”ことピート・クロウ・アームストロングが、開催地違いの変則ダブルヘッダーの遠征試合に出場したからだが、味方選手の打撃練習中からセンターのポジションに入り、「生きた打球」を追いかけるなど、粛々と準備を進めていた。

 前出のカウンセル監督が「今季は主に指名打者で出場する」と公言しているぐらいだから、鈴木は現状、外野手としては「4番手」である。ただし、イアン・ハップ左翼手、前出のPCA、アストロズからトレードで補強されてきた新戦力カイル・タッカー右翼手がいつでも健康であるとは限らない。「定位置奪還」を狙う鈴木にとっては、中堅だろうが、左翼だろうが関係ない。チームメイト調子次第で、いつ、いかなる時でも外野を守る準備をしておかなければならない。彼にとっては少し気の毒な状況でもあるのだが、当の本人は覚悟を決めている。

「こういう状況を作ったのは自分なんで、出ろって言われた場所で結果を出すしかない」
 
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