一方で、ローズの野球賭博との関わりを調査し、MLBへ提出した報告書の責任者でもあったジョン・ダウドは、以前「彼の振る舞い、品性、評判などを考えれば(殿堂入りには)賛成できない」と断罪していた。その点はローズが死去したところで変わりはない。実際、ローズは永久追放後も真摯な反省の弁を述べたり、しおらしい態度をとったりはせず、ひたすら処分が不当であると訴えるばかりだった。
追放時、バート・ジアマッティ・コミッショナーが「自分自身の生活を再構築するなら、復帰の道もあり得る」と手を差し伸べていたにもかかわらず、正反対の言動や行動を繰り返していたのだ。
そして、この点が殿堂入りに関しても影響する可能性はある。成績だけに焦点を当てれば、ローズが殿堂入りできないわけがない。通算4256安打、3562試合出場はいずれも史上1位、746二塁打は2位。ナ・リーグ記録の44試合連続安打、MVP1回、首位打者3回、3度のワールドシリーズ制覇と75年のシリーズMVPも手にしている。オールスターには17回も選ばれた。間違いなく名選手中の名選手である。ハッスルプレーヤーでファンから絶大な人気を博し、70代のMLBを代表するスーパースターの一人だった。
しかし、殿堂入りを決定するためのガイドラインには「選手の成績、能力、品格、スポーツマンシップ、人柄、チームへの貢献をすべて考慮すべし」とある。 この「品格」という項目がローズには決定的に欠けている。バリー・ボンズやロジャー・クレメンスも同様で、彼らは史上最高級の成績を収めたにもかかわらず、人格に問題があった上、薬物使用疑惑のせいで殿堂入りできていない。
ローズは薬物問題こそなかったが、賭博で永久追放という「罪状」はボンズやクレメンスよりはるかに重い。おまけに野球賭博だけでなく、脱税で刑務所入りした経験もあり、近年は未成年者への性的暴行でも告発されている。
では、ジャクソンの場合はどうだろうか? 通算打率.356はニグロリーグを除くと史上3位。若き日のベーブ・ルースが打撃を参考にしたほどの名打者で、品格面でもローズほどの問題はない。また追放後100年以上、死後73年が経過しており、いまだ記憶が生々しいローズほどの嫌悪感もない。ただし、選手として自軍の負けに直接加担した点ではローズより悪質との謗りは免れない。
今回処分解除となった選手たちは、全米記者協会ではなく、殿堂メンバーらで構成される選考委員会の投票で殿堂入りの当否が決まる。ボンズやクレメンスも同委員会での支持が極めて低かったことを考えても、ローズ、ジャクソンのいずれも当選の確率が高いとは思えないが......。選考時期は2年後の27年12月、発表は翌28年1月。果たして結果はどうなるか。
文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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そして、この点が殿堂入りに関しても影響する可能性はある。成績だけに焦点を当てれば、ローズが殿堂入りできないわけがない。通算4256安打、3562試合出場はいずれも史上1位、746二塁打は2位。ナ・リーグ記録の44試合連続安打、MVP1回、首位打者3回、3度のワールドシリーズ制覇と75年のシリーズMVPも手にしている。オールスターには17回も選ばれた。間違いなく名選手中の名選手である。ハッスルプレーヤーでファンから絶大な人気を博し、70代のMLBを代表するスーパースターの一人だった。
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文●出野哲也
【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『メジャー・リーグ球団史』『プロ野球ドラフト総検証1965-』(いずれも言視舎)。
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