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プロ野球

楽天・涌井秀章の新たなる歩み。異例のキャンプ2日目のブルペン入りで見据える開幕までの日々

田口元義

2020.02.08

 仕上がりは順調。だからといって、涌井は「ただ、当たり前のことをやっているだけなんで」と、あくまでも自分の体と対話し、焦らず開幕に合わせる姿勢を崩さない。

 だが、周囲は違う。通算133勝。3度の最多勝に沢村賞にも輝いた熟練の右腕の動向を、常に追っているわけだ。

――開幕投手を狙っていくか?

 報道陣のその問いにいたずらっぽく笑いながら、それが自分でないことを強調する。
「そこは則本(昂大)だと思っているんで(笑)。特には意識していません」

――先発ローテーション候補も多いが?

 今度は冷静に自分を俯瞰する。
「自分のことを言えば、シーズンに入ったら成績では他に選手に勝ちたいと思うかもしれないけど、まだ争うとか考えていません」
 
 涌井は現在地をしっかりと見据える。

 今はまだ、伊藤コーチが言うように試運転の段階なのだ。自らに確信を得るまでは、先を見ず、丹念に投球を仕上げることだけを考えているわけである。

「まあ……」涌井が口角を少し上げながら、今後の調整について端的に話す。

「あまり注目されていないところで、そういうのをやるんで」

 当たり前のことを、コツコツと確実に。
 取り組みの成果が証明されるのは、シーズンが開幕してからになる。真新しいクリムゾンレッドのユニフォームをまとった涌井の新たな歩みは、きっと明るい。

取材・文●田口元義

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【著者プロフィール】
たぐち・げんき/1977年生まれ。野球を中心に雑誌やウェブサイトに寄稿。2019年2月に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)を上梓した。

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