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プロ野球

バレンティン加入で勃発した過酷なサバイバル。ソフトバンクの分厚い戦力層を生かす起用法は?

喜瀬雅則

2020.02.05

日本記録となるシーズン60本塁打をマークした大砲でも、ソフトバンクの選手層の厚さに競争の厳しさを実感している。写真:滝川敏之

日本記録となるシーズン60本塁打をマークした大砲でも、ソフトバンクの選手層の厚さに競争の厳しさを実感している。写真:滝川敏之

 背番号「4」が、まばゆいフラッシュの光に包まれていた。
 
 ウラディミール・バレンティン。「ココ」の愛称で親しまれる35歳は、今季が日本球界10年目のシーズン。FA権を取得したことで「日本人扱い」になった。

 2020年1月29日、キャンプインを3日後に控えた博多で、鷹の新主砲候補は、笑顔いっぱいの記者会見に臨んでいた。打順の希望を問われ「ないよ」。続けて「いい選手がそろっている。グラシアル、デスパイネ、柳田と、ね。監督の決めたところで頑張るよ」。

 単なる謙遜ではない。日本での実績がある自分でも、どうなるか分からない。それほどまでに、レベルの高いチームに来た喜びとともに、競争の厳しさを覚悟しているのだ。
 
「外国人に捉われない扱いになったことが、獲りにいく最高の条件だったね。外国人枠に縛られるのなら、無理だったよ」

 獲得の理由を説明してくれたのは、王貞治球団会長だった。
 3年連続日本一、質量ともに豊富な戦力を誇るソフトバンクがこのオフに見せた大型補強は、ヤクルト時代に通算288本塁打を放ち、2013年には日本記録となるシーズン60本塁打をマークした、文句なしのアーチストを、新たにラインアップに加えることだった。

 しかし、この大砲を一体、どうやって起用するのか――。

 ソフトバンクには、すでに日本で実績も経験も十分な外国人がいる。それも、投打の両面で、欠くことのできない存在の選手ばかりだ。

 野手なら、2017年に本塁打、打点の2冠王に輝き、昨季の日本シリーズでも、4試合すべてに4番を務めたアルフレド・デスパイネと、昨季は規定打席にこそ届かなかったが、打率.319、28本塁打、守ってもサードと外野をこなし、昨年の日本シリーズMVPを獲得したジュリスベル・グラシアルがいる。

 投手でも、昨季までの5年間で、2桁勝利2度を含む通算41勝を挙げているリック・バンデンハーク、昨季は60試合に登板、3勝4セーブ、37ホールドをマークした中継ぎ左腕のリバン・モイネロ。

 バレンティンは日本人扱いとはいえ、昨季の活躍度から見ても、すでに、1軍の外国人枠「4」は“満杯状態”。ここに、メジャー通算54勝の左腕、マット・ムーア(前タイガース)が加わり、右股関節のリハビリで昨季は1軍登板ができなかった日本通算234セーブを誇るデニス・サファテが復活へ向け、宮崎キャンプに2月1日の初日から参加するなど、並々ならぬ意気込みを見せている。

 さあ、どうする……。
 分厚い戦力層ゆえの、贅沢な悩みというわけだ。
 
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