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なぜレッドソックスへの処分はアストロズより軽かったのか。コミッショナーは球界浄化への強い意志を示すべきだった?

2020.04.25

 一般社会における犯罪行為も、頻度や悪質さの度合いによって量刑が変わる。今回の件だけを考えるなら、MLBがレッドソックスにアストロズと同等の処分を下さなかったこと自体は間違いとまでは言えないだろう。

 ただ、レッドソックスは17年にもアップルウォッチを使ったサイン盗みで罰則を受けている。上の例に倣えば、言わば「再犯」となるわけで、その意味でより厳しいペナルティを課すべきだったとの意見も理解できる。
 
 ここで思い出されるのが、MLB史上最大のスキャンダル“ブラックソックス事件”だ。1918年のワールドシリーズで八百長を働いたとされるシカゴ・ホワイトソックスの8人の選手を、ときのコミッショナーは永久追放処分とした。大陪審では8人全員が無罪だったにもかかわらずだ。それは、八百長やそれに類する行為が陰に陽に行われていた当時の球界を浄化する強い意志をアピールするためでもあった。

 今回、エスカレートする一方の勝利至上主義に本気で歯止めをかけようという覚悟がマンフレッドにもあったなら、同じようにレッドソックスにも厳罰を下すべきだったのかもしれない。

文●久保田市郎(スラッガー編集長)

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