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プロ野球

【お股ニキ流アナライズ Vol.1】対応力、幅の広さ、読みの鋭さ…すべてを兼ね備えた森友哉の打撃技術

お股ニキ

2019.11.08

過小評価されがちだが、かつては課題とされていた守備も成長の一途をたどっている。写真:徳原隆元(THE DIGEST編集部)

過小評価されがちだが、かつては課題とされていた守備も成長の一途をたどっている。写真:徳原隆元(THE DIGEST編集部)

 また、日本球界では打力が高い捕手は守備力や配球面で過小評価されがちである。確かに入団当初の森はキャッチングに課題があり、先輩投手のボールをうまく音を出しながら捕球することができずに、気まずそうに謝る場面もあった。そうした経験から、キャッチングを克服するために血の滲むような努力を繰り返していた映像を見たことがある。

 それが、今ではフレーミング能力も球界トップクラスとなりつつある。特に変化球を使うタイミングなどは抜群で、レベルの高い投手のリードに長けているように感じる。フレーミングとややトレードオフでパスボールが多い点はまだ課題だが、守備面でも球界トップクラスに近づきつつある。


 コリジョンルールの制定やボールの変更、環境の変化なども味方につけて球界最高打者にも近づきつつある森。阿部慎之助(巨人)、城島健司といったレジェンド捕手の20代前半の打撃にも匹敵しつつある。高卒年目のデビューから試合連続ホームランを放つなど非凡な才能を見せた一方で、捕手として固定せず外野で打撃を生かしながら徐々に経験を積んでいった西武の育成も結果的に功を奏したのではないか。大阪桐蔭のプロでも通用する打撃や、西武の“山賊打線”を生んだ指導法もいつか本人に詳しく聞いてみたいと思う。
 
 7月8日の『鷹の祭典』で、ソフトバンクのルーキー・甲斐野央から放った逆方向への打撃も伝説的であった。甲斐野の155kmを超える速球にフルスウィングで合わせながら、死フルカウントの場面で、最後の球でフォークを反応で合わせてレフトスタンドまで運んだ。これだけ熱い対戦を見せてくれた彼らには感謝しかない。

文●お股ニキ

おまたにき/野球経験は中学の部活動(しかも途中で退部)までだが、さまざまなデータ分析と膨大な量の試合を観る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配ついての考えをツイッターで発信すると、2019年9月現在、25000人以上にフォローされる人気アカウントとなる。プロ野球選手にアドバイスすることもあり、中でもツイッターで知り合ったダルビッシュ有(カブス)に伝授した“お股ツーシーム”は多くのニュース媒体でも取り上げられた。今年3月に発売した初の著書『セイバーメトリクスの落とし穴 マネー・ボールを超える野球論』(光文社)が大反響を呼んでいる。大のサッカー好きでレアル・マドリーファン。
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