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プロ野球

固定観念に逆らう工藤監督の“短期決戦モード”。この采配がある限り、ソフトバンクの“CS優位”は揺るがない!

喜瀬雅則

2020.11.14

 この積極采配でリードを奪い、終盤は鉄壁のリリーフ陣で逃げ込みを図る。7回は高橋礼、岩嵜翔、嘉弥真新也、泉圭輔ら多彩な顔ぶれが揃い、それこそ一人一殺のぜいたくな起用法を駆使してでも、3つのアウトを奪うことを優先する。そうすれば、8回にはモイネロ、9回は森唯斗と絶大の信頼と実績を誇る2人のリリーバーが控えている。これでもかとばかりに、勝負どころで次から次へと戦力を投入していくのが、短期決戦における工藤采配の最大の特色なのだ。

 球界では、ポストシーズンでも「シーズンと変わらぬ戦いをすべき」という“固定観念”がある。それは、レギュラーシーズンを勝ち抜いてきた主力選手へのリスペクトでもあり、シーズンと異なる起用で負けたりすると「監督が余計な動きをした」という批判にもつながる。
 
 だが、それを工藤監督は恐れない。選手たちも、むしろ納得しているところさえ見受けられる。勝負どころで総力を挙げ、一気に攻め立て、白星を奪う。その“短期決戦モード”を今回のCSでも貫けば、ソフトバンクの「優位」はおそらく揺るがないだろう。

 CSは14日、13時からPayPayドームで幕を開ける。ソフトバンクが迎え撃つのは、楽天、西武との熾烈なCS争いを制して勝ち上がってきたロッテ。ソフトバンクの対ロッテ戦の成績は11勝12敗1分とほぼ5分だ。

 果たして、今年も工藤監督の采配の妙が勝負の分かれ目となるのだろうか。

取材・文●喜瀬雅則(スポーツライター)

【著者プロフィール】
きせ・まさのり/1967年生まれ。産経新聞夕刊連載「独立リーグの現状 その明暗を探る」で 2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。第21回、22回小学館ノンフィクション大賞で2年連続最終選考作品に選出。2017年に産経新聞社退社。以後はスポーツライターとして西日本新聞をメインに取材活動を行っている。著書に「牛を飼う球団」(小学館)「不登校からメジャーへ」(光文社新書)「ホークス3軍はなぜ成功したのか?」 (光文社新書)
 

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