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メジャー3年目に挑む大谷翔平、失意の2019年シーズンに突きつけられた2つの課題とは?

出野哲也

2020.02.08

 しかし、この2年で「彼の身体は投打両方での起用に今後も耐え得るのか?」という懸念は高まってしまった。18年はトミー・ジョン手術に至り、19年もヒザを手術。渡米前の最後の年だった17年も、足首の捻挫によって中途半端な形での出場が続いた。これで3年続けて、五体満足な状態ではプレーできなかったことになる。

 それが二刀流の影響であると断定はできない。17年の足首の怪我は、前年秋の代表戦で一塁へ駆け込んだ際に痛めたもの。もちろん「投手・大谷」にとっては必要ない打撃での怪我だから、二刀流の弊害と言えなくはない。とはいえ、セ・リーグやナ・リーグのように、投手も打席に立つ環境であれば起こり得るものだから、本質的には二刀流のせいではない。ヒジがパンクしたのも打撃とは関係ないし、ヒザは投手として1球も投げていない年に痛みが悪化したわけで、直接的に二刀流が原因で負った怪我は一度もない。

 しかし、投打のいずれかに専念していればできていたはずのトレーニングや、肉体強化にかける時間が不足していたのが故障の原因だ、と主張する人もいるかもしれない。そして、そうした見方を完全に否定するのは難しい。二刀流を再開する予定の来季、またしても故障が発生するとなったら、いよいよそうした声は高まるだろう。
 
 つまり20年の大谷には、証明しなくてはならないことが2つある。1つは、2年ぶりに立つマウンドにおいて、18年のような支配的な投球を再現し、二刀流の価値を改めて認識させること。もう1つは、二刀流を続けながらでもシーズンを通じて健康が維持できると周囲に確信させることだ。

 彼が投手・打者の片方だけでも十分に魅力的な選手であることは、すでに誰もが認めている。だが、二刀流を継続してこそ唯一無二の存在であり続けられるのも確か。肉体的な影響が大きすぎると判断されて、160㎞の速球か、140mの特大アーチのいずれかが見納めになってしまうのは、あまりにも残念だ。

 思えば大谷は、これまで文句なしの成績を残して世間を驚嘆させた年(14、16、18年)と、疑念が頭をもたげるような数字や体調だった年(13、15、17、19年)を1年おきに繰り返してきた。ヒジの不安はトミー・ジョン手術で取り除き、ヒザの状態も完全になった大谷が、縁起の良い偶数年である20 年に、これまでにないくらいのパフォーマンスを見せてくれると信じたい。

文●出野哲也

※『スラッガー』2019年12月号増刊より転載

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