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MLB

ロブ・マンフレッドを「MLB史上最悪のオーナー」と断言できるこれだけの理由<SLUGGER>

出野哲也

2022.02.26

 第6代のピーター・ユベロスは85年の労使紛争を短期で解決して賞賛され、重大な問題であったドラッグの追放にも尽力した。しかしながらFA選手締め出しの謀議を主導していたことが明るみに出て、今ではその存在は黒歴史扱いになっている。

 初代のケネソー・マウンテン・ランディスは1919年のワールドシリーズで発生した八百長騒動(ブラックソックス事件)に際し、関与した8選手を永久追放とする厳しい措置によって、球界の浄化を実現した。MVPにもランディス賞の別名が付けられたほどだったが、黒人選手のメジャー参入を頑として拒否し続けたことでも知られ、今ではMVPからその名は削除された。

 このように、正真正銘の名コミッショナーと呼べる者はいないのだが、彼らは少なからず功績もあった。一方、マンフレッドは失点を重ねるばかりでほとんど得点がない。何もしようとしていないわけではないけれども、やることなすこと的外れで却って悪い結果を招いている。
 マンフレッドが名誉を回復するには、ロックアウトをなるべく早く終結に導くしかない。開幕が延期にでもなろうものなら、ただでさえ低い評判はさらに下がってしまう。最悪の事態を避けるには、オーナーたちの不興を買って再選に影響が出ることになろうとも、球界全体の利益を訴え、先頭に立って行動しなければならない。

 そのような気概を持っている人物こそがコミッショナーにふさわしいのだが、マンフレッドは当てはまりそうにもないのが何とも残念だ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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