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プロ野球

根尾昂は「中途半端」こそが最大の武器!? 投手専念ではなく“スーパーユーティリティ”として生きる道を<SLUGGER>

DELTA

2022.06.16

日本ではほとんどいないが、メジャーではゾブリストの台頭以降、ユーティリティが急増。複数ポジション守れることの価値が高まっている。(C)Getty Images

日本ではほとんどいないが、メジャーではゾブリストの台頭以降、ユーティリティが急増。複数ポジション守れることの価値が高まっている。(C)Getty Images

 MLBではかつてレイズなどでプレーしたベン・ゾブリストがユーティリティ・プレーヤーの地位を大きく押し上げた。

 ゾブリストは09年に打率.297、出塁率.405、長打率.543と超一流の打撃成績を記録。これほどの数字を残しながら、投手と捕手を除く全ポジションで出場する汎用性の高さでもチームに貢献した。

 ゾブリスト以降、MLBでは多くのポジションを守れる選手の価値が認識され、今では守備のポジション別表彰でユーティリティを別枠で評価するほどにその地位は上がってきている。

 そして根尾はこのゾブリストのようになり得る、NPBでも数少ない存在だ。MLBで異彩を放った名手のようにほとんどの野手ポジションが守れるうえ、投手までこなすことができる、まさにスーパーユーティリティだ。こうした選手がいれば、チームはベンチメンバーの運用が非常に楽になる。非常事態の多くは、根尾のポジション変更でカバーすることができるからだ。
 
 もちろんユーティリティとはいえ、現状の打力で常時出場は難しいだろう。最優先課題は間違いなく打撃力の向上だ。ただ、それが達成されれば、根尾はチームに弱点が生まれる度、その弱点を塞ぐ、あるいは強みに変えることができる選手になる。

 今季は外野手登録に変更、内野手再転向、投手挑戦と目まぐるしいシーズンを送っている根尾。その方針を中途半端と見る向きもある。しかしその「中途半端」さこそが、ほかの選手にはない根尾昂という男の最大の武器でもある。その意味では、投手専念もまた根尾の良さを殺す結果になってしまう気もするが果たして。

※データは2022年6月12日終了時点
文●DELTA(@Deltagraphshttps://deltagraphs.co.jp/

【著者プロフィール】
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』の運営、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート5』(水曜社刊)が4月6日に発売。
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