そうしたスタンスは、ピッチングにも表れている。山本のフォーク、カットボールについて「真っすぐに見える」と打者が言うように、各球種の軌道をうまく操っていることが投球術の秘訣に挙げられる。つまりピッチトンネルを巧みに使っているように感じるが、本人に聞くと「存在は知っていますけど、それを狙って投げるって、難しくないですか?」と言うのだ。
山本の22年の球種別の投球割合を見ると、以下の通りとなる。
ストレート:40.5%、
フォーク:30.4%
カーブ:17%
カットボール:7.8%
日本ではストレートに力があると「軸になるボール」として多投される傾向にあるが、山本は速球派にしてはフォークやカーブも多めに使っている。日本でも昨今はアナリストが球種別の理想的な割合をアドバイスすることもある一方、山本はそうした観点から投げ分けているわけではない。
「割合を考えているわけではなく、ただバッターを抑えることを考えた結果、こうなっていますね」
つまり、自身の感覚に従って投げた結果、上記の割合にたどり着いているのだ。裏を返せば、成長の余地をまだまだ残しているとも言える。
今回のWBCを通じ、山本がダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)や大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)と話をしている姿がテレビカメラによく抜かれていた。ダルビッシュにはストレートを高低に投げ分けることを教わり、オーストラリア戦で試せたと話している。ホップ成分の多いストレートを高めに効果的に使えるようになれば、投球の幅はさらに増していくだろう。
彼が目指す世界のスタートラインに立った時、新たな視点も飛び込んできて、投手としてますます成長していくきっかけになるはずだ。まさに、ダルビッシュや大谷が歩んできたように――。
そうした期待が膨らむ、WBCでのピッチングだった。
文●中島大輔
<著者プロフィール>
なかじま・だいすけ。スポーツ・ノンフィクション作家。1979年埼玉県生まれ。上智大学卒。著書『中南米野球はなぜ強いのか』で第二十八回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。今年2月、『山本由伸 常識を変える投球術』(新潮社)を発表。
山本の22年の球種別の投球割合を見ると、以下の通りとなる。
ストレート:40.5%、
フォーク:30.4%
カーブ:17%
カットボール:7.8%
日本ではストレートに力があると「軸になるボール」として多投される傾向にあるが、山本は速球派にしてはフォークやカーブも多めに使っている。日本でも昨今はアナリストが球種別の理想的な割合をアドバイスすることもある一方、山本はそうした観点から投げ分けているわけではない。
「割合を考えているわけではなく、ただバッターを抑えることを考えた結果、こうなっていますね」
つまり、自身の感覚に従って投げた結果、上記の割合にたどり着いているのだ。裏を返せば、成長の余地をまだまだ残しているとも言える。
今回のWBCを通じ、山本がダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)や大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)と話をしている姿がテレビカメラによく抜かれていた。ダルビッシュにはストレートを高低に投げ分けることを教わり、オーストラリア戦で試せたと話している。ホップ成分の多いストレートを高めに効果的に使えるようになれば、投球の幅はさらに増していくだろう。
彼が目指す世界のスタートラインに立った時、新たな視点も飛び込んできて、投手としてますます成長していくきっかけになるはずだ。まさに、ダルビッシュや大谷が歩んできたように――。
そうした期待が膨らむ、WBCでのピッチングだった。
文●中島大輔
<著者プロフィール>
なかじま・だいすけ。スポーツ・ノンフィクション作家。1979年埼玉県生まれ。上智大学卒。著書『中南米野球はなぜ強いのか』で第二十八回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。今年2月、『山本由伸 常識を変える投球術』(新潮社)を発表。