NBA

主力の退団&エースのケガの”二重苦”で下位に陥落……苦難の1年となったウォリアーズが目論む王座奪還への道

ダンクシュート編集部

2020.04.11

今季、カリーとトンプソンのスプラッシュ・ブラザーズは“活動休止”したが、これによって来季は体調万全で挑むことができるだろう。(C)Getty Images

 ステフィン・カリーとクレイ・トンプソンの"スプラッシュ・ブラザーズ"、オールラウンダーのドレイモンド・グリーンら生え抜き選手を中心に、2010年代に3度(15、17、18)リーグ王者に就いたゴールデンステイト・ウォリアーズ。昨季まで5年連続でウエストを制し、リーグ有数のエリート球団となった彼らだが、この1年は苦難の連続だった。

 3連覇を狙った昨年のファイナルでは、万能スコアラーのケビン・デュラントとシューターのトンプソンの故障離脱が響き、トロント・ラプターズに敗退。シーズン終了後、チームを2度の優勝に導いたデュラントは退団、さらにロールプレーヤーのアンドレ・イグダーラはトレードされ、貴重なバックアップガードだったショーン・リビングストンは引退した。

 代わりにチームはディアンジェロ・ラッセルやウィリー・コーリー・スタインなど、フレッシュな若手を加えて今シーズンに挑んだ。しかし開幕3戦目に大黒柱のカリーが手を骨折して戦線離脱すると大幅に戦力ダウンし、最初の20試合でわずか4勝。12月下旬から1月にかけて泥沼の10連敗と状況は悪化の一途を辿り、1月25日にコーリー・スタイン、2月6日にはエースとして奮闘していたラッセルも放出し、早々に白旗を掲げた。

 今季の成績は15勝50敗で勝率23.1%。負け数は過去2シーズンの合計(2017-18:24敗、2018-19:25敗)を上回る数字で、リーグ最下位に沈んでいる。
 
 それでも悪いことばかりではない。ラッセルのトレードでは2014年のドラ1、アンドリュー・ウィギンズを獲得。さらに今季の不振によって次のドラフトでは上位指名権を手にできる可能性が高まった。そして何より、今季スプラッシュ・ブラザーズが"活動休止"したことで、来季は万全のコンディションでシーズンを迎えることができる。

 今年のドラフトにはスコアリングガードのアンソニー・エドワーズ(ジョージア大)や、センターのジェームズ・ワイズマン(元メンフィス大)、ニューオリンズ・ペリカンズでプレーするロンゾ・ボールの弟で司令塔のラメロ・ボール(オーストラリアリーグ)などが上位指名候補に挙げられている。

 ウォリアーズ・オーナーのジョー・レイコブはドラフトについて、『NBC Sports』に「(新型コロナウイルスの影響で)NCAAトーナメントを見たり、選手にインタビューできないのは辛いところだ。しかし我々には十分な情報があるから、適切な決断を下せるようになるだろう」と語った。

 その一方でレイコブは「すべてのシナリオを検討する」と、指名権のトレードも否定していない。即戦力獲得のため、ドラフト指名権とセットで今季主力を務めたウィギンズやルーキーのエリック・パスカル、元2WAY契約のデイミアン・リーらを手放すことも考えられる。

 2015年から3度の優勝をすべて経験したカリーは32歳、トンプソンとグリーンは30歳とまたひとつ歳を取った。新陳代謝が激しいリーグにおいて彼らを中心に再び頂点へ――。屈辱にまみれたシーズンの後で、元王者は劇的な復活を遂げられるのか。今後の動向から目が離せない。

構成●ダンクシュート編集部

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