70年以上の歴史を誇るNBAではこれまで多くの名ポイントガード(PG)がプレーしてきた。ボストン・セルティックスが8連覇(1959~66年)を成し遂げた期間にプレーしていたボブ・クージーに始まり、初代“シーズン・トリプルダブル”を達成したオスカー・ロバートソン、1980年代以降ではアービン“マジック”ジョンソンやアイザイア・トーマス、ジョン・ストックトン、ジェイソン・キッド、スティーブ・ナッシュといったレジェンドがリーグの歴史に名を刻んだ。
その中で、「歴代最高のPGは誰か?」と聞かれると、おそらく多くの方がマジック、あるいはトーマスの名前を挙げるだろう。
だがロサンゼルス・レイカーズのクイン・クックは、昨季までの2シーズン、ゴールデンステイト・ウォリアーズで一緒にプレーしたステフィン・カリーを歴代最強PGに挙げている。
5月14日(日本時間15日、日付は以下同)に公開されたラジオ番組『95.7 The Game』内で、1993年生まれのクックはこう話していた。
「僕は(リアルタイムで)マジックとアイザイアを見ていなかった。彼らのハイライトは大好きだよ。でも僕の目には、ステフのようにプレーする選手は誰1人としていなかったね」
2015、16年に2年連続でシーズンMVPに輝いたカリーは、現役屈指の人気選手であり、リーグ有数の実力者。今季までの11シーズンで平均23.5点、4.5リバウンド、6.6アシスト、1.7スティールを残しており、3ポイント成功率は43.5%(歴代6位)、平均3.6本という成功数は歴代最多を誇る。
とはいえ、PGの指標の一つとなるアシスト数で見ると、カリーのキャリア平均は歴代36位。平均11.2本でトップのマジック、2位のストックトン(平均10.5本)は別格としても、ロバートソン(同9.5本)やトーマス(同9.3本)、現役トップのクリス・ポール(オクラホマシティ・サンダー/同9.5本)とも大きな開きがあることは否定できない。
それでも、クックは“ゲームチェンジャー”としてカリーが残してきた功績を口にし、こう発言していた。
「彼がキャリアの中でやってきたこと、NBAだけでなくカレッジでもそうだけど、彼は3ポイントで革命を起こしたんだ。それに彼は決して3ポイントだけの選手なんかじゃない。歴代ベストのボールハンドラーであり、フィニッシャーとしても史上最高の1人なんだ」
カリーはすでに、プレーオフ(470本)とNBAファイナル(121本)で歴代最多の3ポイントを沈めており、レギュラーシーズン(2495本)でも歴代3位という高順位。デザインされた戦術からキャッチ&シュートで決めるだけでなく、プルアップやステップバックなど、1オン1からも自在にスコアすることができる。
クロスオーバーからビハインド・ザ・バックでスペースを作り出せ、非凡なシュート力を利用したフェイクも効果抜群。カリーはフローターや絶妙なスピンをかけたレイアップでも得点できるため、さすがにクックの意見を全否定することはできない。
もっとも、今年3月に32歳となったカリーのNBAキャリアはまだまだ続く。今後もチャンピオンシップを勝ち取り、自身の成績も比例して伸ばしていくことができれば、“歴代最高PG論”に割って入ることができるのではないだろうか。
文●秋山裕之(フリーライター)
【PHOTO】プレーでもルックスでもファンを魅了!NBA史上最高のシューター、ステフィン・カリーの厳選ショット!
その中で、「歴代最高のPGは誰か?」と聞かれると、おそらく多くの方がマジック、あるいはトーマスの名前を挙げるだろう。
だがロサンゼルス・レイカーズのクイン・クックは、昨季までの2シーズン、ゴールデンステイト・ウォリアーズで一緒にプレーしたステフィン・カリーを歴代最強PGに挙げている。
5月14日(日本時間15日、日付は以下同)に公開されたラジオ番組『95.7 The Game』内で、1993年生まれのクックはこう話していた。
「僕は(リアルタイムで)マジックとアイザイアを見ていなかった。彼らのハイライトは大好きだよ。でも僕の目には、ステフのようにプレーする選手は誰1人としていなかったね」
2015、16年に2年連続でシーズンMVPに輝いたカリーは、現役屈指の人気選手であり、リーグ有数の実力者。今季までの11シーズンで平均23.5点、4.5リバウンド、6.6アシスト、1.7スティールを残しており、3ポイント成功率は43.5%(歴代6位)、平均3.6本という成功数は歴代最多を誇る。
とはいえ、PGの指標の一つとなるアシスト数で見ると、カリーのキャリア平均は歴代36位。平均11.2本でトップのマジック、2位のストックトン(平均10.5本)は別格としても、ロバートソン(同9.5本)やトーマス(同9.3本)、現役トップのクリス・ポール(オクラホマシティ・サンダー/同9.5本)とも大きな開きがあることは否定できない。
それでも、クックは“ゲームチェンジャー”としてカリーが残してきた功績を口にし、こう発言していた。
「彼がキャリアの中でやってきたこと、NBAだけでなくカレッジでもそうだけど、彼は3ポイントで革命を起こしたんだ。それに彼は決して3ポイントだけの選手なんかじゃない。歴代ベストのボールハンドラーであり、フィニッシャーとしても史上最高の1人なんだ」
カリーはすでに、プレーオフ(470本)とNBAファイナル(121本)で歴代最多の3ポイントを沈めており、レギュラーシーズン(2495本)でも歴代3位という高順位。デザインされた戦術からキャッチ&シュートで決めるだけでなく、プルアップやステップバックなど、1オン1からも自在にスコアすることができる。
クロスオーバーからビハインド・ザ・バックでスペースを作り出せ、非凡なシュート力を利用したフェイクも効果抜群。カリーはフローターや絶妙なスピンをかけたレイアップでも得点できるため、さすがにクックの意見を全否定することはできない。
もっとも、今年3月に32歳となったカリーのNBAキャリアはまだまだ続く。今後もチャンピオンシップを勝ち取り、自身の成績も比例して伸ばしていくことができれば、“歴代最高PG論”に割って入ることができるのではないだろうか。
文●秋山裕之(フリーライター)
【PHOTO】プレーでもルックスでもファンを魅了!NBA史上最高のシューター、ステフィン・カリーの厳選ショット!