NBAは2000年代に入ってフリーエージェントやトレードによる大物移籍が頻繁に起こり、ひとつのチームに複数のスーパースターが集結する例も珍しくなくなった。
遡れば、2007年にポール・ピアース、ケビン・ガーネット、レイ・アレンがボストン・セルティックスで"ビッグ3"を結成していきなり優勝。2010年にはレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)、ドゥエイン・ウェイド、クリス・ボッシュのドラフト同期組がマイアミ・ヒートで邂逅し、"スリーキングス"として12年からリーグ2連覇を果たした。
昨季まで5年連続でファイナルに進出したゴールデンステイト・ウォリアーズもステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンの3人にケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)を加え、王朝をより万全なものにした。
近年では、リーグを制するためには最低2~3人のスターを擁するのが"最低条件"となっている感はあるが、その風潮に釘を刺したのが殿堂入り選手のアレン・アイバーソンだ。
1996年のドラフト全体1位指名でNBA入りしたアイバーソンは、ルーキーイヤーからフィラデルフィア・セブンティシクサーズのエースとして君臨。183cm・75㎏という小柄な体格ながら果敢なドライブで大男たちのディフェンスを切り裂き、面白いように得点を奪ってみせた。見ている者に痛快さを与えるプレーと、「大事なのは身体のサイズじゃない。"ハートのサイズ"だ」の名言で多くの人々の記憶に刻まれ、2000-01シーズンには平均31.1点で自身2度目の得点王に輝くとともにシーズンMVPを獲得し、NBAファイナルにも進出した。
07年に移籍したデンバー・ナゲッツではカーメロ・アンソニー(現ポートランド・トレイルブレイザーズ)とデュオを組んだが、NBAキャリア15年の大半を単独エースとして、周囲のスター軍団たちと渡り合った。01年のNBAファイナルでは、シャキール・オニール&コビー・ブライアントを擁するレイカーズに敗れて涙を呑んだが、自らスーパースターと手を組む考えはなかったという。
ヒップホップMCであるファット・ジョーのインスタグラム・ライブショーにゲストとして登場したアイバーソンは、自らの哲学を語っている。
「なぜみんなチームを変えるんだろうね。俺は今の若い選手たちのことが大好きだが、俺はシャックやコビーと一緒にプレーするなんて想像できなかった。言っている意味が分かるだろ? そんなのはあまりにも簡単すぎると感じたんだ。俺は常に、"他の4人のプロ"と戦っているつもりだった。それこそがスーパーチームだと思っていたよ」
"作られたスターチーム"で優勝しても、それはあまりにも味気がなさすぎる――。アイバーソンは最終的にチャンピオンリングを手にできずに引退したが、それも自らのスタイルでキャリアを貫いた結果だけに後悔はないのだろう。今年6月に現役引退を発表したヴィンス・カーターも、晩年を弱小チームで過ごした理由を試合出場と若手の手本になれる場所を基準にしていたことを明かしている。
与えられた権利を行使してスーパースターと手を組んで優勝を目指すのもひとつの選択肢であり、やりがいを求めて自分の道を突き進むのもひとつの生き様。どちらが正解という基準はないが、アイバーソンは自らの経験を基に熱い思いを語っていた。
構成●ダンクシュート編集部
【PHOTO】ロッドマン、ジョーダン、アイバーソン、シャック…NBA史に残る偉大なレジェンドたち!
遡れば、2007年にポール・ピアース、ケビン・ガーネット、レイ・アレンがボストン・セルティックスで"ビッグ3"を結成していきなり優勝。2010年にはレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)、ドゥエイン・ウェイド、クリス・ボッシュのドラフト同期組がマイアミ・ヒートで邂逅し、"スリーキングス"として12年からリーグ2連覇を果たした。
昨季まで5年連続でファイナルに進出したゴールデンステイト・ウォリアーズもステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンの3人にケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)を加え、王朝をより万全なものにした。
近年では、リーグを制するためには最低2~3人のスターを擁するのが"最低条件"となっている感はあるが、その風潮に釘を刺したのが殿堂入り選手のアレン・アイバーソンだ。
1996年のドラフト全体1位指名でNBA入りしたアイバーソンは、ルーキーイヤーからフィラデルフィア・セブンティシクサーズのエースとして君臨。183cm・75㎏という小柄な体格ながら果敢なドライブで大男たちのディフェンスを切り裂き、面白いように得点を奪ってみせた。見ている者に痛快さを与えるプレーと、「大事なのは身体のサイズじゃない。"ハートのサイズ"だ」の名言で多くの人々の記憶に刻まれ、2000-01シーズンには平均31.1点で自身2度目の得点王に輝くとともにシーズンMVPを獲得し、NBAファイナルにも進出した。
07年に移籍したデンバー・ナゲッツではカーメロ・アンソニー(現ポートランド・トレイルブレイザーズ)とデュオを組んだが、NBAキャリア15年の大半を単独エースとして、周囲のスター軍団たちと渡り合った。01年のNBAファイナルでは、シャキール・オニール&コビー・ブライアントを擁するレイカーズに敗れて涙を呑んだが、自らスーパースターと手を組む考えはなかったという。
ヒップホップMCであるファット・ジョーのインスタグラム・ライブショーにゲストとして登場したアイバーソンは、自らの哲学を語っている。
「なぜみんなチームを変えるんだろうね。俺は今の若い選手たちのことが大好きだが、俺はシャックやコビーと一緒にプレーするなんて想像できなかった。言っている意味が分かるだろ? そんなのはあまりにも簡単すぎると感じたんだ。俺は常に、"他の4人のプロ"と戦っているつもりだった。それこそがスーパーチームだと思っていたよ」
"作られたスターチーム"で優勝しても、それはあまりにも味気がなさすぎる――。アイバーソンは最終的にチャンピオンリングを手にできずに引退したが、それも自らのスタイルでキャリアを貫いた結果だけに後悔はないのだろう。今年6月に現役引退を発表したヴィンス・カーターも、晩年を弱小チームで過ごした理由を試合出場と若手の手本になれる場所を基準にしていたことを明かしている。
与えられた権利を行使してスーパースターと手を組んで優勝を目指すのもひとつの選択肢であり、やりがいを求めて自分の道を突き進むのもひとつの生き様。どちらが正解という基準はないが、アイバーソンは自らの経験を基に熱い思いを語っていた。
構成●ダンクシュート編集部
【PHOTO】ロッドマン、ジョーダン、アイバーソン、シャック…NBA史に残る偉大なレジェンドたち!