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今季のホーム勝率は歴代ワースト。コロナ禍で“ホームコート・アドバンテージ”は喪失したのか?<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2021.05.15

シクサーズの2枚看板はホームコート・アドバンテージの重要性を説いたが、今季のリーグ全体のホーム勝率は歴代ワーストだという。(C)Getty Images

 NBAの2020-21レギュラーシーズンも残すところあと2日。5月14日(日本時間15日、日付は以下同)に行なわれた8試合を終えた時点で、今季のプレーオフならびにプレーイン・トーナメントへ進出するチームが決まり、ポストシーズンに向けて動き出している。

 現在はほとんどのホームアリーナで観客を動員しており、フェニックス・サンズは本拠地のフェニックス・サンズ・アリーナで8000人以上、ユタ・ジャズのヴィヴィント・スマートホーム・アリーナでは6000人以上、フィラデルフィア・セブンティシクサーズはウェルズファーゴ・センターに5000人以上を動員している。

 もっとも、今季は新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、序盤戦はほとんどのチームが無観客で試合を開催。徐々に観客動員数を増やしていったが、現状ではホームコート・アドバンテージという言葉の意味を揺るがすほどの事態となっている。

 14日に『AP』へ掲載された記事によると、今季までの75シーズンで、レギュラーシーズンにおけるホームチームの勝率は62.0%。NBA史上最も高勝率だったのは1950-51シーズンの74.3%だった。
 
 ところが、今季も含めて8シーズン連続でホームチームの勝率は60.0%以下になることが確実。昨季は55.1%で史上ワーストだったが、今季はさらにそれを下回る見込みだ。

 14日終了時点で、ホーム戦績で勝ち越しているのは17チーム。ジャズの31勝5敗を筆頭に、シクサーズ(28勝7敗)、ブルックリン・ネッツ(26勝8敗)、サンズ(27勝9敗)と、上位チームが大きく勝ち越しているものの、リーグ全体では決してアドバンテージになってはいない。

 移動制限により、今季はフロリダ州タンパにあるアマリー・アリーナをホームにしているトロント・ラプターズは16勝19敗。チームのエースを務めるパスカル・シアカムは、フリースロー時にブーイングを浴びることもあった。

 だが本人は「僕らはシーズンを通してずっとロード(アウェー)にいるように感じる。だからそのことを何か新しいものとは思っていない」と明かした。

 そしてニック・ナース・ヘッドコーチも記者からそのことを聞かされて「今季を総括する記事を書く時、おかしなシーズンとしてそのことを追記しておいてくれよ」と話しており、急造のホームアリーナのアジャストに苦しんでいたと話している。
 
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