米プロバスケットボールNBAは開幕から５試合を終えた。各チームともレギュラーシーズンの序盤の戦いを繰り広げる中、トロント・ラプターズの渡邊雄太は開幕ロースター入りを果たしたものの、いまだにコートでその姿を見られずにいる。

　今季は激しいメンバー争いを勝ち抜き、初めて本契約の選手としてシーズン開幕を迎えた。NBA４シーズン目、さらなる活躍が期待されていた中、左足ふくらはぎの負傷により開幕戦を欠場、その後も試合出場に至っていない。

　プレシーズンマッチで唯一の出場となった10月５日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦では、16分間で10得点・７リバウンドを記録、攻守両面でのプレーにおいて各方面から高い評価を得ていただけに、もどかしい状況が続いている。

　多くの人々が渡邊の躍動を心待ちにする中、カナダ紙『Daily Hive』ではプレーとは別の表情をみせる渡邊の記事を掲載。同紙のアダム・ラスカリス記者が、渡邊がトロントにある飲食店を訪れた際の従業員との交流の模様を伝えている。日本人従業員らとともに柔らかな笑顔で写真に納まっている渡邊の表情も去ることながら、一緒に写っているスタッフの満面の笑顔は、地元チームのNBAプレーヤーの訪問を心から祝福する気持ちが表れているようだ。
  　写真と共に、渡邊の人柄にも触れており「ファンの間で『ユウタ』と呼ばれ、その仕事熱心さと行動力でファンに愛されている」と紹介した同記者は、さらに「人気者の彼は街へ出ることを止めない」と、ファンサービスへの姿勢についても述べている。

　また同記事では、ラプターズのニック・ナース監督の「ボールを扱うことに慣れていることや、常に動き回ることにも優れている」「彼はあまりミスをせず、ひたすら頑張る」という言葉とともに、人間性の面での評価も高いことを伝えている。

　今月26日にはラプターズより渡邊がチーム練習に合流したことが発表され、さらにはナース監督の「復帰は近いだろう」とのコメントが報じられた。ファンにとっては嬉しいニュースであると同時に、ここからはチーム内での激しい競い合いが待っている。

　一方で、プロバスケットボールプレーヤーとして、コート外での振る舞いも重要であることは言うまでもないだろう。激しい戦いでの支えとなるのは、己の技術だけではない。完全復帰が待たれる渡邊雄太にとって、今回の交流も含め、ファンからの声援は間違いなくプレーの原動力になるはずだ。

構成●THE DIGEST編集部