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欧米では“陰謀説”も…。モスクワ勾留中の“世界最高女子バスケ選手”ブリトニー・グライナーの今<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.03.28

いまだモスクワで勾留中のグライナー。ロシアは戦時下にあるだけに、安否が心配される。写真:Mansoor Ahmed/Ahmedphotos

 アメリカと日本が対戦した、昨年の東京五輪女子バスケットボール決勝戦で、ゲームハイの30得点をマークしてアメリカを優勝に導いた、センターのブリトニー・グライナー。身長162cmの日本のガード町田瑠唯と、203cmのサイズを誇るグライナーの、41cm差のマッチアップも話題となった。

 WNBAオールスターに7回出場し、NCAA、WNBA、ユーロリーグ、オリンピックの女子4冠を制覇した11選手のうちの1人であるグライナー。現在、世界最高の女子バスケットボール選手とも言われているプレーヤーだ。

 しかしそんなグライナーは今、モスクワで勾留されている。

 2月17日、モスクワのシェレメーチエヴォ空港で、大麻オイル所持により拘束。だがその事実はすぐには明かされず、拘束から約2週間たった3月5日に初めて、ロシアの連邦税関は、アメリカ代表の女子バスケットボール選手が拘束されていることを発表した。
 
 その時点でも、それが誰なのかは特定されていなかったのだが、その後、ロシアの国営通信社タスがブリトニー・グライナーであると公表。そしてそれから1週間後の24日、ロシアによるウクライナ軍事侵略が始まったことで、戦争当時国に置かれているグライナーの安全が懸念されている。

 所属するWNBAのフェニックス・マーキュリーは3月5日、クラブ公式Twitterで以下のような声明を発表した。

「我々は、ロシアにおけるブリトニー・グライナーの状況を認識し、注意深く見守っている。彼女の家族、代理人、WNBA、NBAと密接に連絡を取り合っている。我々はブリトニーを愛し、サポートしている。現時点での最大の関心事は、彼女の安全と、身体的・精神的な健康、そして、彼女が無事に帰国することだ」

 WNBAも「グライナーはリーグの全面的な支援を受けており、我々の最優先事項は彼女の迅速かつ安全な米国への帰還である」という主旨の声明を発表。

 アメリカはウクライナ側、つまりロシアの敵側についているため、アメリカ当局はグライナーが、たとえば"人質"といった形で、アメリカの紛争介入に圧力をかける道具にされることを恐れて、大きな動きは控えているとも報じられている。
 
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グライナーの勾留は“陰謀説”も……