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「自信に溢れ、常に自然体」名将ポポビッチも高評価!名門セルティックスを率いるユドカHCのキャリア<DUNKSHOOT>

小川由紀子

2022.04.25

ユドカHC(右)は就任1年目からセルティックスを上位に導き、プレーオフでは1回戦突破にあと1勝に迫っている。(C)Getty Images

 連日、熱戦が繰り広げられているNBAプレーオフ。

 その中で、今シーズン初めてヘッドコーチ(HC)に就任したルーキー指揮官、ボストン・セルティックスのイーメイ・ユドカ、ニューオリンズ・ペリカンズのウィリー・グリーンの2人も、ペリカンズはここまで1勝2敗、セルティックスは3戦全勝と奮闘している。

 奇遇なことに、両者とも、1回戦で対戦しているのは、昨年アシスタントコーチとして在籍していた球団だ。ユドカはスティーブ・ナッシュ、グリーンはモンティ・ウィリアムズと、アシスタント時代に腹心を務めた指揮官を相手に戦っている。

 ネッツに対して先手をとっているユドカは、「同じ選手がたくさんいるわけだから、このメンバーのコーチをしていたことは大きなアドバンテージだ」と認めている。

「(ジェームズ)ハーデンはいなくなったが、(ケビン)デュラントと(カイリー)アービングはこのチームを象徴する存在だ。私は彼らのメンタリティやゲームへの取り組み方を知っている。だから、彼らがどのように機能するか、どのようなディフェンスで封じられてきたかを見てきたというのはメリットだ。それからスティーブや選手たちが打つ手について察しがつく点でもね」

 アービングも「イーメイは俺たちのことをよく分かっている。彼は宝箱の中に、自分の選手たちに渡す鍵をいくつか持っていると思う」と、ユドカにとってネッツでの経験は大きなプラスだと語っている。
 
 ユドカは昨季、球団のゼネラルマネージャー(GM)に就任した前任者のブラッド・スティーブンスが、後任として自らリクルートした人物だ。

 チャンシー・ビラップス、ジェイソン・キッドら何人か候補に挙がっていた中で、ユドカの存在は際立っていたと、スティーブンスはユドカ就任時にコメントしている。

「彼(ユドカ)は信頼できる人物で、タフでありながら非常に温かい。そして素晴らしい経験を携えている。選手としてのキャリアに加え、長年(サンアントニオ)スパーズで、そして過去2年間はフィリー(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)とブルックリンで、指導する側として全く異なるものを間近に見てきた。その経歴は実に素晴らしい」

 2012年にスペインのムルシアを最後に選手としてのキャリアを終えたユドカが、同年、指導者としての第一歩を踏み出したのが、現役時代にも3シーズン(2007-09、10-11)所属したスパーズだった。

 そこで師事したのは、NBAで最後に指導を受けた指揮官である名将グレッグ・ポポビッチ。

 彼のもとで7年間アシスタントコーチを務めた間、NBAファイナルを3回経験、そして2014年にはタイトル獲得を味わった。

 ポポビッチは以前、愛弟子について次のように語っている。
 
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「彼は指導者としての基本的な適性があり、彼自身もその能力を知っている」