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「第4クォーターに入ると得意なスポットへ行ってしまう」守備の名手プリンスが語るレブロンとコビーの特徴<DUNKSHOOT>

秋山裕之

2022.08.10

守備の名手プリンス(右)が現役時代に何度も対戦したコビーとレブロンのプレースタイルについて語った。(C)Getty Images

 現地時間8月7日に公開された『Late Night Lake Show』に、テイショーン・プリンス(元デトロイト・ピストンズほか)がゲスト出演した。

 2002年のドラフト1巡目23位でピストンズから指名されたプリンスは、206㎝・96㎏と細身の体格ながら218㎝を超えるウィングスパンを生かし、名ディフェンダーとして鳴らした。

 ルーキーシーズン(02-03)のプレーオフ1回戦。ピストンズはオーランド・マジック相手に1勝3敗と追い込まれると、リック・カーライルHC(ヘッドコーチ/現インディアナ・ペイサーズHC)は相手の得点源トレイシー・マッグレディの刺客として新人プリンスを送り込み、見事スローダウンに成功。

 翌03ー04シーズンから先発へ定着したプリンスは、6シーズン連続で82試合フル出場を果たし、04年に優勝。オールディフェンシブ2ndチームに4年連続(05~08年)で選ばれ、NBAで計14シーズンをプレーした。

 番組内で、プリンスは現役時代にレギュラーシーズン、そしてプレーオフでもマッチアップしたコビー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)、レブロン・ジェームズ(レイカーズ)の特徴と対処法を語っていた。

「彼らは両方とも違うんだ。コビーについては、彼の好きなスポットへ行かせちゃいけない。それが彼のリズムでもあるからね。彼はフィジカルにぶつかってきて、(マッチアップ相手を)消耗させようとしてくるんだ。で、第4クォーターに入ると得意なスポットへ向かっていくのさ」
 
 プリンスは04年のファイナルでコビーのマークを担当。5試合で平均22.6点を奪われたが、長い腕をひたすら伸ばして視界を狭めたほか、フォロースルーの邪魔をしてフィールドゴール38.1%、3ポイント17.4%に封じ込めた。

 ボールの有無に関わらず、相手を仕留めるべくアグレッシブに攻め立てるコビーに対して、レブロンはどうなのか。プリンスは「レブロンの場合、マークマンは1試合で150回もピック&ロールをくぐらないといけない」と両選手の違いについて指摘する。

「つまり、異なる2つのことをケアしなきゃいけないんだ。レブロンはピック&ロールの連続、コビーは得意のスポットへ行かせないこと。彼は最初の3クォーターで相手を仕留めて、第4クォーターになれば簡単に好きなスポットへ行ってしまうのさ」

 強靭な肉体を持つレブロンに加え、マッチアップ相手はスクリーナー役との接触を繰り返しては抜け出し、彼を追いかけ回さなければならず、体力の消耗度はコビー以上だろう。

 プリンスはキャリア平均11.1点とオフェンス面でも貢献しており、決してストッパー役としてキャリアを全うしてきたわけではない。

 攻守両面で奮闘し、特にディフェンスでは毎試合相手のベストプレーヤーたちをガードしてきたことを考えると、彼のキャリアはもっと評価されていいのかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)
 
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