ダーク・ノビツキーと言えば、現役時代にダラス・マーベリックス一筋21年をプレーし、歴代6位の通算3万1560得点を記録したドイツ出身のレジェンドだ。今年8月のバスケットボール殿堂入りも決まっているが、本人によれば2006-07シーズンに欧州出身選手として初めて受賞したMVPには少なからず後悔の念があるという。
1998年のドラフト全体9位でミルウォーキー・バックスに指名され、同日のトレードでマブズ入りしたノビツキー。ロックアウトによる短縮シーズンだったルーキーイヤーはNBAのフィジカルに苦しんで平均8.2点に終わったが、翌シーズンから主力に定着。3年目の2000-01シーズンからは12年連続で平均20点以上をマークするなど、リーグ屈指のパワーフォワードとして活躍した。
7フッター(213cm)ながら広大なシュートレンジを誇り、3ポイントシュートもお手の物。特に代名詞の“片足ステップバックジャンパー”は防御不能として恐れられ、19年の引退後には本拠地アメリカン・エアラインズ・センターに、その瞬間を切り取った銅像が作られたほどだ。
9年目の2006-07シーズンにはリーグ最高の栄誉であるMVPを受賞。しかし、ノビツキーはレイチェル・ニコルズがホストを務める番組『Showtime』シリーズの『Headliners』に出演した際、「恥ずかしかった。街とチームをがっかりさせてしまった。誰も自分のことを知らないところへ行って、休暇を取りたかった」と“意外な本音”を明かしている。
この年、ノビツキーは78試合に出場して平均24.6点、8.9リバウンド、3.4アシスト、FG成功率50.2%、3ポイント成功率41.6%の成績を残し、1位票83票を含む1138ポイントを獲得。2位のスティーブ・ナッシュ(平均18.6点、リーグ1位の11.6アシスト、FG成功率53.2%、3ポイント成功率45.5%)が1位票44の1013ポイント、3位のコビー・ブライアント(リーグトップの平均31.6点)が1位票2つで521ポイントという結果だった。
マブズはレギュラーシーズンで67勝15敗とリーグ最高勝率をマークし、ウエストの第1シードを獲得。意気揚々とプレーオフに臨んだが、1回戦で第8シードのゴールデンステイト・ウォリアーズに2勝4敗と世紀のアップセットを食らってしまう。ノビツキーは平均19.7点、FG成功率38.3%、3ポイント成功率21.1%にとどまり、戦犯の烙印を押された。
さらに追い打ちをかけたのが、MVP発表のタイミングだ。現地時間5月3日に敗退が決まったなか、約2週間後の5月15日に受賞が正式発表。通常であればホームのファンに祝福されながら戴冠するはずが、すでにシーズンが終了した肩身の狭い状態でトロフィーを受け取る“珍事”となった。
「案の定、NBAから電話がかかってきた。『まだ休暇は取れないぞ。MVPを獲るかもしれないんだ』ってね。私は『誰かほかの人に譲ってしまってくれ』と言ったのを覚えているよ。キャリアの中でも最も気まずい瞬間だった。
もう消えてしまいたいって思いしかなかった。でも、私は男としてそれを受け止めて、受賞について語った。失望していたけど、アジャストしたんだ。今、MVPについて振り返れば、本当に光栄なことだと思う。素晴らしいチームと過ごした素晴らしいシーズンだった」
その後、2011年にチームを初優勝に導き、ファイナルMVPも手にしたノビツキーだが、百戦錬磨の男にとっても07年の栄冠は、ほろ苦い思い出として刻まれているようだ。
構成●ダンクシュート編集部
1998年のドラフト全体9位でミルウォーキー・バックスに指名され、同日のトレードでマブズ入りしたノビツキー。ロックアウトによる短縮シーズンだったルーキーイヤーはNBAのフィジカルに苦しんで平均8.2点に終わったが、翌シーズンから主力に定着。3年目の2000-01シーズンからは12年連続で平均20点以上をマークするなど、リーグ屈指のパワーフォワードとして活躍した。
7フッター(213cm)ながら広大なシュートレンジを誇り、3ポイントシュートもお手の物。特に代名詞の“片足ステップバックジャンパー”は防御不能として恐れられ、19年の引退後には本拠地アメリカン・エアラインズ・センターに、その瞬間を切り取った銅像が作られたほどだ。
9年目の2006-07シーズンにはリーグ最高の栄誉であるMVPを受賞。しかし、ノビツキーはレイチェル・ニコルズがホストを務める番組『Showtime』シリーズの『Headliners』に出演した際、「恥ずかしかった。街とチームをがっかりさせてしまった。誰も自分のことを知らないところへ行って、休暇を取りたかった」と“意外な本音”を明かしている。
この年、ノビツキーは78試合に出場して平均24.6点、8.9リバウンド、3.4アシスト、FG成功率50.2%、3ポイント成功率41.6%の成績を残し、1位票83票を含む1138ポイントを獲得。2位のスティーブ・ナッシュ(平均18.6点、リーグ1位の11.6アシスト、FG成功率53.2%、3ポイント成功率45.5%)が1位票44の1013ポイント、3位のコビー・ブライアント(リーグトップの平均31.6点)が1位票2つで521ポイントという結果だった。
マブズはレギュラーシーズンで67勝15敗とリーグ最高勝率をマークし、ウエストの第1シードを獲得。意気揚々とプレーオフに臨んだが、1回戦で第8シードのゴールデンステイト・ウォリアーズに2勝4敗と世紀のアップセットを食らってしまう。ノビツキーは平均19.7点、FG成功率38.3%、3ポイント成功率21.1%にとどまり、戦犯の烙印を押された。
さらに追い打ちをかけたのが、MVP発表のタイミングだ。現地時間5月3日に敗退が決まったなか、約2週間後の5月15日に受賞が正式発表。通常であればホームのファンに祝福されながら戴冠するはずが、すでにシーズンが終了した肩身の狭い状態でトロフィーを受け取る“珍事”となった。
「案の定、NBAから電話がかかってきた。『まだ休暇は取れないぞ。MVPを獲るかもしれないんだ』ってね。私は『誰かほかの人に譲ってしまってくれ』と言ったのを覚えているよ。キャリアの中でも最も気まずい瞬間だった。
もう消えてしまいたいって思いしかなかった。でも、私は男としてそれを受け止めて、受賞について語った。失望していたけど、アジャストしたんだ。今、MVPについて振り返れば、本当に光栄なことだと思う。素晴らしいチームと過ごした素晴らしいシーズンだった」
その後、2011年にチームを初優勝に導き、ファイナルMVPも手にしたノビツキーだが、百戦錬磨の男にとっても07年の栄冠は、ほろ苦い思い出として刻まれているようだ。
構成●ダンクシュート編集部
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