現地時間６月12日（日本時間13日）、デンバー・ナゲッツはホームのボール・アリーナでマイアミ・ヒートとのNBAファイナル第５戦を94－89で制し、フランチャイズ史上初のチャンピオンとなった。

　チームトップの42分18秒コートに立ち、28得点、16リバウンド、４アシストを記録してファイナルMVPに選ばれたニコラ・ヨキッチは、試合後のインタビューで、「僕らは分かっていた。相手が素晴らしいチームだとね。彼らは本当に、素晴らしいチームなんだ。信じられないチームとして、彼らのことをものすごくリスペクトしている」とヒートを称賛。

　28歳のセルビア出身の万能ビッグマンは、残り約４分で７点リードの場面からヒートに逆転を許すも、シーソーゲームの末に勝ち切った要因にディフェンスを挙げていた。

「チームで見せたものすごい努力のお陰さ。今日はショットが決まらず、酷い試合だった。けどどうやって彼らを守るかを考え抜き、相手を80か90点に抑えてみせた。それが僕らの勝てた要因さ」

　この日のナゲッツは序盤からターンオーバーを連発。３ポイント成功率は17.9％（５／28）、フリースロー成功率は今年のプレーオフでワーストの56.5％（13／23）とシュートも不発と、重要な一戦で苦戦を強いられ、前半でヒートに７点のリードを奪われた。
  　それでも過去に何度も逆境を跳ね除けてきたチームは、ヨキッチとジャマール・マレーを中心に後半に反撃。第４クォーター残り１分31秒にブルース・ブラウンがオフェンシブ・リバウンドをもぎ取って逆転となるショットをねじ込むと、そこから試合終了までヒートを無得点に封じてみせた。

　ナゲッツではヨキッチのほか、マイケル・ポーターJr.が16得点、13リバウンド、マレーが14得点、８リバウンド、８アシスト、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープが11得点、２スティール、３ブロック、ブラウンが10得点、６リバウンドをマーク。チーム全体でリバウンドに絡み、総数で46－33とヒートを圧倒した

　1967年にNBAのライバルリーグだったABA（American Basketball Association）のチームとして誕生したナゲッツは、76年に同リーグの消滅によって1976－77シーズンからNBAに参入。それから苦節47シーズン、ナゲッツはついに悲願のNBAチャンピオンへと上りつめた。

『ESPN Stats & Info』によると、初タイトル獲得までにこの球団が費やした期間は、これまで優勝したどのチームよりも長かったという（それまでは2016年のクリーブランド・キャバリアーズの46年）。ナゲッツの選手たちやコーチ陣、そしてこのチームを長年応援してきたファンにとっては念願の王座獲得と言っていいだろう。
　
文●秋山裕之（フリーライター）

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